●特集『平成22年 研究成果発表会』-道産建築用材の需要拡大-
構造用合板の原材料は,かつては南洋材や北洋材などが主流でしたが,近年道内の合板工場ではカラマツ,トドマツが主流となってきています。しかし,内装用合板等の製造を考えた場合,カラマツ,トドマツは乾燥工程で節部分が抜け落ちてしまうことが多いことから製造上のネックとなっています。そこで乾燥工程の前段において節脱落を防止する方法とそれを自動で処理する装置を開発しました。
【専用接着剤の開発】
ロータリーあるいはスライス切削を終えた高含水率の単板は,通常ベニヤドライヤーにより,最高190℃程度の高温のドライヤー内を上下のローラーで挟み込まれて搬送され,絶乾近くまで乾燥します。このため,節脱落防止処理剤には,ドライヤー内で節が脱落しないための耐熱性と柔軟性が要求されます。また,送材中に処理剤がローラーに共付きをすると節が剥がれてしまいますので,速乾性も要求されます。そこで林産試験場ではこれらの要求を満たす専用接着剤の開発を行いました。
図1に,死節を対象に処理をしないで乾燥させた単板と専用接着剤で節脱落防止処理を施した単板の節脱落率を示します。トドマツでは無処理単板の節脱落率が45%であったのに対し,節脱落処理を行った単板では僅か3%程度の脱落率でした。
【処理装置の開発】
カメラ2台と高周波蛍光ランプを収納した撮像装置をコンベヤ上方に設置し,移動する単板の板面情報をコンベヤの動きと同期して撮像し,画像解析処理することで節を認識します(写真1)。認識した節の位置と大きさに基づいて,産業用ロボットを節の位置に動かし,接着剤を吹き付け,節の脱落防止処理を行います(写真2)。節認識装置,ロボット,コンベヤの動きを同期することにより,ラインを止めることなく処理することが可能となります。
今後道内外の関連企業に成果の普及を行います。なお,普及先の要望によっては,より複雑な判別処理の検討や,より高精度な画像処理方法,より高速処理が行える機械装置等の開発を検討します。