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●特集『平成22年 研究成果発表会』-森林バイオマスの合理的利用の取り組み-

発熱量の高い木質ペレットをつくる

利用部 バイオマスグループ 山田 敦



 研究の背景・目的


 木質ペレットは,単位重量当たりの発熱量が灯油の半分程度で,かさ高いため,輸送や貯蔵に係るコストが大きくなります。そこで,廃棄物系バイオマスである屑木炭やバイオディーゼル燃料製造時に副生するグリセリンを混合した発熱量の高い木質ペレットをつくることを試みましたので報告します。

 研究の内容・成果


 原料には,林産試験場内で剥皮したトドマツ樹皮,道内で製造された融雪剤に使用されている屑木炭及びバイオディーゼル燃料の副産物であるグリセリンを用いました。
 トドマツ樹皮に屑木炭を25%混合することにより総発熱量は6.7%,同じくグリセリンを10%混合することにより8.9%増加しました。トドマツ樹皮に屑木炭を25%混合した原料に,さらにグリセリンを10%添加した木質ペレットは,総発熱量が11.6%増加しました(図1) 。グリセリンを混合した木質ペレットは成形性(単位密度)が低下しました(表1)。最も発熱量が高かった屑木炭を25%混合したものにグリセリンを10%添加した木質ペレットの単位密度はトドマツ樹皮と同程度であり,崩れやすさの指標である粉化度は3.3%でした(表1)。

写真 トドマツ樹皮のペレット,トドマツ樹皮+屑木炭のペレット,+グリセリンのペレット

図1 各種ペレットの工業分析値および総発熱量,表1 各種ペレットの単位密度,粉化度

 今後の展開


 今後,発熱量を高くした木質ペレットの実生産レベルでの製造条件等を検討するとともに,資源背景等を考慮し,技術移転を図ります。

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