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●特集『平成22年 研究成果発表会』-森林バイオマスの合理的利用の取り組み-

海岸の良好な景観と環境を保全するための流木処理のあり方

技術部 生産技術グループ 清野新一



 研究の背景・目的


 大雨などの災害に起因して大量の流木が海岸に漂着します。これらの流木を処理するに当たって,処理コスト以外に資源としての有効利用や海岸の景観・環境への配慮が必要となります。そこで,海岸流木の適切な処理方法を評価・選定する手法について検討しました。

 研究の内容・成果


 階層分析法(AHP)という手法を用い,苫小牧海岸などの胆振地域に流木が漂着したという想定で,「経済性」「資源の有効利用」「地域への貢献」「環境との共生」の四つの視点から評価を行いました。胆振地域で可能な流木処理方法(メニュー)を抽出し,評価項目の設定を行ったうえで,流木処理に係る関係者(胆振支庁地域政策課,室蘭土木現業所,地元市町)へ評価項目間の重みづけに関するアンケート調査などを行い,各メニューの重要度を数値化しました。その結果,処理費に対する補助率が5/10の場合は,「処理コスト」が重視され,流木を陸域へ集積する処理が選定されました。また,補助率が10/10の場合は,「住民への還元」や「地場産業への貢献」が重視され,住民配布と地場のボード工業に利用するメニューが選定されました。

図解 胆振地域で可能な流木処理方法のメニュー

図解 設定した評価項目


グラフ 苫小牧海岸に流木が漂着した場合の評価結果

 今後の展開


 検討した手法は,海岸流木の処理方法を評価・選定するうえで有効と考えられました。今後,海岸漂着物処理推進法に基づき漂着ごみ対策を推進するため設置された北海道海岸漂着物対策推進協議会などに対して,本手法の普及・提案を行っていきます。

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