●特集『平成22年研究成果発表会』パートII
木質ペレット用のサイロは鋼製やFRP製の製品が主流ですが,製造方法により形状やデザインに制約を受けます。そこで,製作や加工に自由度が高い木材を用いた木造サイロの設計と試作を行いました。
木造サイロは構造的に部材の接合部分が多くなり,雨水などの浸入が懸念されるため,これらの部分にコーキングを行い,防水ビニールシートにて外壁面全周を覆いました。さらに面材取付け後は,面材のつなぎ目やコーナー部に防水・気密テープによる目張りを施しました。
次に,サイロ内部の温熱環境を明らかにするため,温度と湿度を測定しました。測定の結果,木材は熱伝導率が小さいということもあり,木造サイロ内の温熱環境は他素材のサイロと比較して非常に安定していることが明らかになりました。また木構造は,壁面内部に断熱材を容易に入れられることから,より安定した内部温熱環境の達成が可能であり,他素材のサイロに比べ有利であると考えられます。
搬送システムは,開発要件の一つである搬送距離10mを電源周波数50?で満足できるように,ホース内径をφ63.5mmおよびφ76.2mmの2種類に変更して試験を行いました。
試験の結果,φ76.2mmのホースでは46Hzで10mの搬送が可能であったことから,50Hzでは約13.5mの搬送が可能と試算されました。
ペレット供給の自動化については,コストを考慮し安価なリレーシーケンスを採用しました。事前のチェックでは,システムの「入切」は問題なく動作しましたが,実際にストーブへ取付けるとペレットの堆積状況によって正常に動作しない場合もあり,引き続き検討する必要があります。空送による燃焼の安全性に関しては,動作時の燃焼室内圧が燃焼機器メーカーが設定する基準値を大きく下回っていることから,問題はないと判断しました。またアタッチメントについては,ストーブとの取合部分から埃や粉塵の洩れのないことも併せて確認しました。