●特集『平成22年研究成果発表会』パートII
伝統的な木造住宅の構法では,柱や土台,梁,桁をつなぐ部分には,釘や金物を使わない接合方法が多く使われています。しかし,現在の釘や金物を使った接合部が実験によって耐力が決められているのに対して,伝統的な接合部の中には強度性能が明らかでないものもあります。したがって,建物の構造計算が必要な場合には新たに実験を行って性能を確認しなければなりません。このような接合部の性能データ不足が伝統的木造住宅の供給の促進を妨げている原因の一つと考えられます。
そこで,伝統的な接合部のうち,どの地域でも使われているような一般的な仕様の接合部の強度試験を実施し,その強度性能値を公開することによって,伝統的木造住宅の設計を円滑に行えるようにするための取り組みが,(財)日本住宅・木材技術センターが中心となって行われました。 強度実験は全国の試験機関や大学で行われ,当場でも,下に示すような接合部の試験を実施し,強度性能の評価を行ってきました。