●特集『平成22年研究成果発表会』パートII
木質構造物を長持ちさせるためには,腐朽診断により木材腐朽の兆候を早期に発見し予防的な対処を行うことが重要です。
これまでは,主に住宅で発生する木材を腐朽させる菌類(腐朽菌)をDNA情報を用いて検出,同定する方法を確立してきました。
しかし,主に屋外で発生する腐朽菌についてはまだ確立されていません。
そこで本研究では主に屋外で発生する腐朽菌を,DNA情報を用いて早期に検出,同定する方法を確立することを目的としました。
表に示す各菌から単離したDNAと,種特異的なプライマーを用いたPCR反応を行いました。
反応液を電気泳動した結果,写真のように,各菌の増幅されたDNAが蛍光バンドとして検出できました。
各菌のバンドの位置が異なるのは,プライマーの配列の位置が菌により異なり,増幅されるDNAの長さが違ってくることによります。
以上から,屋外で発生する腐朽菌を,DNA情報を用いて早期に検出,同定できることが確認できました。