●特集『平成22年研究成果発表会』パートII
現在,解体材のリサイクルとしては,破砕してチップとし,ボード原料や燃料とする方法が一般的です。しかし,断面の大きい柱や梁は丁寧に解体し,必要があれば挽き直して新しい住宅に用いることができます。
古来行われてきたこのようなリユースが一部でしか行われなくなった背景には現在の工法が釘や金物を多用することとこれを除去する方法が人手によるしかないという課題があります。
本研究では,森林資源の高度な再利用技術としてリユースに着目し,これの効率化に必要な技術として釘抜きに必要な労力の軽減に取り組みました。
写真1に試作した釘抜き装置を示します。解体工場の土場など粉塵や水分などの多い環境でも確実に動作させることを目的として,動力源は空気としました。
エアインパクトレンチによる駆動力をウォームギヤとクランク機構を介して直線運動に変換することで釘の錆などによる摩擦力の増大に対処した設計を行いました。
釘の把持機構として当初は釘の頭をすくい上げる,通常の釘抜きを用いました(特許 P3684457 取得済)が,解体材では頭が欠損した釘や,木ねじも多いことから,エア駆動のグリッパ(写真2)に変更しました。
写真3に動力式釘抜き装置による作業効率試験の状況,表1に試験の結果を示します。釘類1本あたりの処理時間は手作業に比べ約6割と大きく短縮できることが判りました。また,釘類とグリッパの位置合わせが難しい,釘抜き中,装置に余分な力がかかったときぶれないよう保持するのが難しいなどの作業性に関する課題も判りました。
試験において,作業者から釘類とグリッパの位置があわせづらい等の改善点が指摘されました。より使いやすい装置となるよう改善が必要と考えています。試験研究に協力していただける企業を募集しています。