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Q&A 先月の技術相談から(その2)

海岸に漂着した流木の利用について



Q: 海岸に漂着した流木を処理しなければならないのですが,リサイクルなど有効利用が可能なのか,どんな利用方法があるのか教えてください。



A: 海岸に漂着した流木は,塩分や土砂等の混入・付着がみられ,本来の木材とは性状が異なること,また形状や樹種が多様であるため利用にあたっては注意する必要があります。特に利用上の障害として林産試験場に相談が多いのは塩分の問題です。
 トドマツの枝を風乾してから人工海水に浸漬して塩分の浸透性を分析した結果(),元口の木口面付近は塩分の侵入が高いものの元口から2~3cm以上離れた場所では塩分の侵入は低く1%以下になることがわかりました。ただし,樹皮は材部に比べて塩分が浸透しやすく,樹皮が残存している流木では塩分が高くなることもわかりました。

写真 海岸に漂着した流木 図 乾燥トドマツ枝の海水の浸透性


 この結果から,海岸流木の利用法を検討すると次のような用途が考えられます。
(1)緑化資材
 塩分濃度を調製した木材を用いて芝用の種子の発芽,生育試験を行った結果,0.76%以下の塩分濃度では発芽,生育に影響が認められませんでした。海岸流木を緑化資材に利用する場合,黒土,肥料,保水材と混合調製して塩分濃度を低下させれば,良好な資材として利用できるとおもわれます。
(2)敷料,堆肥
 家畜糞尿には0.9%の食塩等が含まれ,その環境を好む分解菌が働き堆肥化が進行するものと考えられます。このため,海岸流木の堆肥化では,厳しい脱塩処理が不要であり,1~2%を目標とした調整により良好な堆肥化が期待できます。なお,雑菌等を懸念する場合には,直接家畜に接触しない戻し敷料としての利用が適当とおもわれます。
(3)暗渠疎水材
一般に疎水材は近郊で入手しやすい資材を使用し,木質チップの活用も進められており,流木の活用の可能性も高いとおもわれます。しかしながら,利用にあたっては塩分による用水への影響や腐朽材による耐久性の低下などについてデータがないため今後試験等による検証が必要とおもわれます。
(4)燃料・ペレット
 木質チップのボイラー燃料への利用は塩素濃度0.4%をクリアすれば可能であり,回収・堆積した海岸流木を降雨にさらす簡易な脱塩処理により十分利用することが可能とおもわれます。ペレット燃料については現在検討されている品質基準(案)では塩素基準が0.05%と厳しく,海岸流木を利用することは難しいとおもわれます。
(5)その他
 漂着した海岸から工場までの流木の運搬を考慮すると実際に利用できる地域は限定されますが,木質ボード(パーティクルボード)の原料として利用することができます。

表 海岸流木の活用の可能性

(技術部 生産技術グループ 清野新一)

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