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北海道の針葉樹から内装材をつくる
~「木の温かみ」見える化プロジェクト~

企業支援部 普及調整グループ 鈴木貴也



写真 北海道の森林(針広混交林)

 北海道の主な針葉樹にはエゾマツ,トドマツ,カラマツや一部道南地域にスギがみられます。
 これら針葉樹材は,一部が住宅の土台や柱・梁といった構造材として使用されているものの,大部分はダンネージ(梱包材)やパルプ,チップの原料とされており,暮らしの中でそれらの製品が人目に触れる機会はあまり多くありませんでした。
 特に,住宅・建物の目に触れる部分,いわゆる「内装用材」には,針葉樹材に比べ硬くて傷が付きにくく,色や木目も多彩な広葉樹材が好まれ,ミズナラ,ヤチダモ,イタヤカエデ,カンバ類等が主流を占めてきました。
 しかしながら現在,道内の優良広葉樹資源は枯渇状態にあり,トドマツやカラマツをはじめとする道内の豊富な針葉樹資源の利用が求められています。
 そこで,これまで内装材としてあまり利用されてこなかった道産の針葉樹材に高い付加価値を与え,用途の拡大と一層の利用促進を図ることを目的として,内装材(木材)の持つ「温かみ」を定量的に評価する手法と内装材の表面加工技術を検討し,一冊のマニュアルにまとめました。


 「木の温かみを定量化し,それを実現する表面加工技術」マニュアル


 マニュアルはおもに次の項目で構成されています。
(1)官能・温冷感・接触感に関する評価技術
 床材や壁材に強く求められる,直接肌で触れたときの「温かみ」や「心地よさ」といった感覚的な性能の評価手法・技術について検討しました。
(2)道産針葉樹による圧縮木材の試作
 材の密度を上げて広葉樹程度に硬く,傷が付きにくくする技術の一つである圧縮木材の製造方法や,圧縮による表面加工技術について検討しました。
(3)表面切削による表面加工技術の開発
 収集した「人に好まれる表面形状」を,内装材に付加するための加工技術について検討しました。

 本マニュアルは林産試験場ホームページ上で公開(PDF形式)されているほか,冊子も無料で配付していますので,建材メーカーや内装材に関連する企業の方々には是非ご覧いただきたいと思います。
 また,本研究に際し,林産試験場にはNCルーターや表面形状測定装置等が導入され,平成22年11月より研究・開発を目的とする企業等の皆様へ「設備使用制度」(有料)で開放していますので,マニュアルと併せてご活用いただきたいと思います。
 ご興味を持たれた方は是非,林産試験場までご連絡下さい。


 新規に導入された機器のご紹介


1 NCルーター
 (メーカー・形式:SINX・20ZXGN1326)


○設備使用料
最初の1時間     11,270 円
以降1時間追加ごと   250 円

○主な使用目的
・木製品試作のための切削加工

○機器の仕様
・3軸制御NC加工機 (ATC無し)
・テーブル寸法:1300mm×1600mm
・主軸移動速度(max):25m/min(XY) 6m/min(Z)
・加工刃シャンク径:12mm(スリーブ使用で8mm,6mmに対応可能)※加工刃は利用者側でご用意下さい。
・被削対象は木材のみ

○特徴など
 ATC無しの非常にシンプルなNCルーターですが,木目加工のプログラムと三つのサンプルパターンを特注装備しています(木目加工には時間を要しますので,事前にご相談下さい)。
 一般的な加工には,搭載されている既成のプログラムを用いますが,CADが使用できる方にはフリーソフト等を使用した,より簡便に操作する方法についてもご指導します。


2 表面形状測定装置
 (レーザー変位計メーカー・形式:KEYENCE LJ-G200)


○設備使用料
最初の1時間     20,580 円
以降1時間追加ごと   110 円

○主な使用目的
・各種材料の表面形状の測定

○機器の仕様
・物体の高さを測定するインライン2次元変位計
・測定範囲:幅方向 最大約60mm
・データ間隔:0.1mmピッチ

○特徴など
 レーザー変位計を使って非接触で材料の表面形状を測定するため,これまでの触針式表面粗さ計では測れなかった凹凸の深い材料やそりの生じている材料の測定も可能です。
 レーザー変位計はNCソフトで制御され,X-Yステージ上の任意の位置(0.1mm単位)において,高い精度で測定が可能です。
 得られたデータは形状解析ソフト(KS-Analyzer)で処理することにより,JISに準拠した算術平均粗さ(Ra)等の算出が可能です。
※写真は表面に深い凹凸のある材料の測定の様子です。


3 床のすべり試験器(携帯型)(ONO・PPSM)
 (メーカー・形式:東北測器・OH-101)


○設備使用料
最初の1時間     11,050 円
以降1時間追加ごと    30 円

○主な使用目的
・床の滑り性の測定(JIS A 1454「滑り性試験」準拠)
 床面との接触面積を5×6cmとした滑り片上に20kgの重錘を置き,上方18°の角度で引っ張り,重錘の初動時の最大荷重を測定し,滑り抵抗係数を算出。

○機器の仕様
・試験体寸法:最小20×20cm
・滑り片には標準ゴム(紳士硬底靴を想定)を装備

○特徴など
 携帯型のため分解して移動でき,試験片に限らず,歩行路や既存建築物の床の滑りも測定できます。
 表面が平滑なものに限らず,エンボス加工などの凹凸模様に対しても,人間の歩行感覚と対応した滑り抵抗係数が測定できます。
 各種靴底や素足などの足裏の状態や,乾燥,湿潤状態など,様々な使用状況を想定した床の滑り抵抗係数の測定が可能です。
※標準ゴム以外の靴底等を用いる場合や,ダスト,油等の介在物が必要な場合は,利用者側でご用意ください。


4 ハンディサーモグラフィー
 (メーカー・形式:NEC・AVIO TVS-500EX)


○設備使用料
最初の1時間      6,410 円
以降1時間追加ごと   110 円

○主な使用目的
・物体の表面温度測定
・窓や住宅部材の表面温度分布の測定
・住宅の断熱欠損部分(冷橋)の探索
・接触温冷感(材料に触れたときの温かみ)の測定

○機器の仕様
・観測温度範囲:-40℃~500℃
・温度分解能:0.05℃
・精度:100℃未満 ±2℃

○特徴など
 バッテリーで駆動するコードレスタイプの高精細赤外線サーモグラフィーで,撮影した熱画像はCFカードに保存できます。また,撮影した熱画像の解析についての技術相談にも対応します。


 お問い合わせは・・・


林産試験場 TEL:0166-75-4233(代表)
・マニュアルの内容に関すること  【内線571】技術部 製品開発グループ(担当:澤田)
・設備使用の手続き,料金などに関すること  【内線421,422】企業支援部 技術支援グループ

※このマニュアルは,平成21年北海道地域イノベーション創出共同体形成事業(経済産業省)を活用した研究「道内針葉樹材を用いた圧縮木質内装材等における表面加工技術と官能・温冷感・接触感に関する評価技術の開発」の成果品として作成したものです(北方建築総合研究所と共同実施)。

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