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Q&A 先月の技術相談から

マンネンタケの栽培と機能性について



Q:  現在,ハウス内でマンネンタケ原木栽培を行っていますが,菌床栽培でも同様に行えるでしょうか?また,マンネンタケの薬用キノコとしての効能にはどのようなものがあるでしょうか?



A:  菌床栽培は原木栽培にくらべ,栽培サイクルが短く,周年で行うことが可能です。
 マンネンタケはマンネンタケ科の一種で,古くから霊芝と呼ばれ,中国や日本で漢方薬の原料として珍重されてきました。現在では,ヨーロッパやアジア等多くの国で栽培や研究が行われている代表的な薬用のキノコです。
 栽培方法としては夏場から秋にかけてキノコを発生させる原木栽培が主流で,原木には主にナラ類,クヌギ等が利用されています。また,菌床栽培技術も確立されており,使用可能な空調設備があれば周年栽培が可能となります。
 菌床栽培では一般的な広葉樹,すなわち北海道ではカンバ類,ミズナラ,ブナ等のおが粉が利用できます。栄養材についてはフスマ,米ぬか,とうもろこしぬかが使用できるとされていますが,フスマを用いると菌糸の蔓延が早いとされます。

マンネンタケの菌床栽培試験
 林産試験場が行ったカンバとフスマを培地材料とした栽培試験の結果()を紹介します。試験では800 mLのポリプロピレン製瓶とポリプロピレン製袋を用い,瓶には540g(フスマ添加量57g)または570g(フスマ添加量82 g),袋には1.0 kg(フスマ添加量100 g)充填し,高圧殺菌した後,翌日マンネンタケの種菌を接種しました。これらの瓶や袋を22~23℃・相対湿度70%の培養室で培養した後,27~28℃・相対湿度85%の発生室に移しました。

 その結果,グラフにあるようにフスマの添加量82 g(培地重量の約15%)区では,フスマ添加量57 g区に比べいずれの培養日数でも子実体収量が少なくなりました。このようにマンネンタケの菌床栽培では栄養材の添加量が多すぎると子実体の発生が阻害されて収量が低下することが示されました。今回の菌床栽培ではフスマは培地重量の約10%程度が適していることがわかりました。また,培養日数は瓶では約30日が適正であり,袋を用いても,30日間の培養で発生することがわかりました。
 このほか,マンネンタケの収穫までの期間は発生室への移動後,瓶では約30日,袋では約45日でしたが,収穫時期が遅れると,胞子を大量に発生させ,空調施設内の換気ファンや加湿器等が目詰まりを起こす原因となります。そのため,傘の表面全体が茶褐色になる(傘の周辺部に黄色味を帯びた縁がなくなる)前(写真)に収穫することが必要です。

図 マンネンタケ菌床栽培試験の結果 写真 マンネンタケの発生の様子(原木埋め込み)

マンネンタケの効能(機能性)
 マンネンタケの効能(機能性)についてですが,旧来から含有されるβ-1,3-D-グルカン(グルコースが結合した多糖類の一種)に抗腫瘍活性があるとされてきました。これに加え,血圧抑制,血糖値抑制効果や最近では女性ホルモンの一種であるエストロゲンに似た作用を持つことから,更年期に起こる前立腺肥大症や骨粗鬆症への抑制効果が見出されており,各種機能性を有する薬用きのこの代表格としての位置づけが高まってきました。
 そのため,マンネンタケを含む多くの健康食品が販売されていますが,それらの品質は栽培環境によりバラつくことが予想されますので,栽培条件による関連成分の含有量の変化を評価する必要があります。また,消費者は商品の特徴を把握した上で選択することが必要と考えられます。

(利用部 微生物グループ 米山彰造)

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