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Q&A 先月の技術相談から

トドマツ板材の乾燥スケジュール作成



Q:  蒸気式乾燥装置でトドマツの板材を乾燥したいのですが,乾燥スケジュールが分かりません。



A:  主要な樹種の板材については,厚さと初期含水率に基づいて,基本的な乾燥スケジュールを作成することができますので,その方法について説明します。

■ 乾燥スケジュール作成に用いる表について

 乾燥スケジュールの作成には次に示す表を用います。表1は,樹種と厚さごとに,採用すべき温度と湿度の条件と,乾燥の際に生じやすい損傷をまとめたものです。表2は初期含水率による区分,すなわち表4において含水率の範囲に対応する乾湿球温度差を決めるために用いる表です。表3は含水率の範囲に対応する乾球温度をまとめたものです。表4は含水率の範囲に対応する乾湿球温度差をまとめたものです。

表1 乾燥スケジュール

表2 初期含水率による区分

表3 温度スケジュール

表4 針葉樹材の湿度スケジュール


■ 乾燥スケジュール作成の例

 では,実際にこれらの表を使って乾燥スケジュールを作ってみましょう。ここでは,厚さ2.5cm,初期含水率70%のトドマツ板材を含水率12%まで乾燥する場合のスケジュールを作成します。

 まず,表1からトドマツ2.5cm厚の温度と湿度を探します。すると,温度がT12で湿度が5と記載されています。
 次に表2を見て,初期含水率が70%の時の含水率区分を探すと,Cと記載されています。
 ここまでの作業が終わったら,次は表3と表4を使って含水率の範囲に対する温度と湿度の組み合わせた表を作成します。このとき知っておかなければならないのは,表1の“温度”は表3の“乾球温度区分”を意味し,“湿度”は表4の“乾湿球温度差区分”を意味するということです。また,表3は広葉樹と針葉樹に共通する表ですが,表4はあくまで針葉樹用の表ですので注意してください。これらを踏まえて,まず表3から乾球温度区分T12の箇所を抜き出すと,表5のようになります。これで,含水率の範囲に対する乾球の温度が決まります。
 次に,表4から初期含水率区分および段階Cと,乾湿球温度差区分5を抜き出すと,表6のようになり,含水率の範囲に対する乾湿球温度差が決まります。
 あとは,表5を確認しながら表6に乾球温度を加えていけば,表7のように基本的な乾燥スケジュールができあがります。

表5 T12の温度スケジュール,表6 初期含水率区分Cと湿度5,表7 基本的な乾燥スケジュール

■ おわりに

 今回は,広く知られている表を用いた乾燥スケジュールの作成方法を紹介しましたが,実際の乾燥作業では,表7の段階7の後に,含水率のばらつきを減らすためのイコーライジング,材の応力を緩和するためのコンディショニングを必要に応じて実施することになると思います。これらの方法や,今回示した表では対応できない正角材などの乾燥スケジュールについては,どんどんお問い合わせいただければ幸いです。

参考文献
テクニカルノート木材乾燥(改訂新版) (社)北海道林産技術普及協会 28-29(2010)

(技術部 生産技術グループ 土橋英亮)

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