グイマツ精英樹「中標津3号」のDNA鑑定結果について

 林業試験場では、これまでグイマツとカラマツの精英樹を交配させた雑種として「グリーム」「スーパーF1」「クリーンラーチ」を開発しました。


    林業試験場と北海道育種場(正式名称:国立研究開発法人  森林研究・整備機構森林 総合研究所林木育種センター北海道育種場)では、共同して進めている第2世代精英樹選抜の一環として、林業試験場のクローン集植所に保存しているグイマツ精英樹クローンを対象に北海道育種場がDNA鑑定技術を用いた遺伝子型の確認・クローン識別を行いま した。
   その結果、北海道育種場に保存されている中標津3号と中標津5号は遺伝子型が異なっていたのに対し、林業試験場のクローン集植所の中標津3号は中標津5号と同一の遺伝子型であることが判明しました。

   林業試験場の中標津3号クローンは、これまでにクローン増殖が図られて採種園に母樹として提供されたり、次代検定林造成に利用されたりした経緯があることから、林業試験場でもDNA鑑定を実施することとし、林業試験場と道が保存している他の中標津3号クローン(林業試験場集植所・苗畑34個体、道有採種園163個体)のDNA鑑定と、次代検定林のうち中標津3号を交配親とした子供の一部69個体の親子鑑定を行いました。
   その結果、訓子府採種園に植栽されている北海道育種場の育成による中標津3号クローン(54個体)を除いて、中標津3号としていたものはすべて中標津5号の遺伝子型を有していました。これらすべては、中標津5号と同一の遺伝子型である林業試験場の中標津3号クローンに由来していることを示します。このようなことが生じた原因としては、50数年前に行ったつぎ木クローン養成過程や、苗木の輸送・植栽時での取り違えが考えられますが、その詳細は不明です。


以上のことから、林業試験場が開発した「スーパーF1」は、中標津5号が母樹であったことが明らかとなり、すべて「クリーンラーチ」となります。また、品種「グリーム」(販売実績無し)も中標津5号を母樹、カラマツ精英樹の胆振1号を花粉親とした雑種であり、「クリーンラーチ」と同類のものです。


林業試験場における対応

  当場が刊行した普及用パンフレット『種苗の品種にこだわる時代がやってきたグイマツ雑種F1の特定品種「クリーンラーチ」と「スーパーF1」』については、『種苗の品種にこだわる時代がやってきたグイマツ雑種F1種苗の特定品種「クリーンラーチ」改訂版』として、内容を一部改訂いたしました。入手方法についてはPDF版のみの提供となりますので、パンフレットのページよりダウンロードしてください。

  林業試験場が行ったDNA鑑定結果については、平成31年3月刊行予定の北海道 林業試験場研究報告に掲載する予定です。

  これまで林業試験場が刊行してきた刊行物(北海道林業試験場研究報告、光珠内季報、グリーントピックス等)、および外部機関が発行する刊行物(学会誌、普及誌等)に掲載された「グリーム」「スーパーF1」の記述について、内容の修正は行いませんが、これらの刊行物をお読みの際には、「グリーム」「スーパーF1」を「クリーンラーチ」に読み替えてくださいますようお願いいたします。

  優良な林業種苗の確保に向けて、林業試験場では今後とも、関係機関と密接に連携しながら、遺伝学的手法等による育種母材の適切な管理と遺伝的改良の高度化を進めます。




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