北海道林業試験場報告-第4号-

(昭和42年3月 発行)

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北海道森林土壌の地域性ならびにトドマツの地位指数と土壌因子に関する研究 (PDF,2.84MB) p.1~101
寺田喜助
北海道の木材の需要は,1946年ごろより,復興材あるいは各種産業の発展にともなって,急激に増加の一途をたどってきた。当時はこれに対して森林の過伐という形で充足されていたが,長期の林業経営に責任をもつ北海道の国有林や道有林としては,このままの状態ではゆるされなく,当然これに対処した施策がほどこされつつあった。
たまたま1954年の15号台風(寺田 1955)により北海道の森林は一時に多量失われ,これを契機として国有林では経営合理化対策,道有林では林力増強計画の作定がなされた(北海道林材新聞社 1958,北海道造林振興協会 1961)。この意図するところは何れも林地生産力の増強を原則としており,そのためにはこれまでの数倍にのぼる造林計画の実施であった。このような状勢のもとに,本州の国有林ではすでに1947年より林野の土壌調査がはじめられていたが,北海道でも1952年より各局でこの土壌調査にとりかかった(林野庁 1956)。つづいて1954年には,北海道の民有林が林野庁の指導と補助をうけて,適地適木調査事業を実施し(北海道林務部 1956),翌1955年には道有林でも土壌調査をはじめた。その時著者は上司の命を受けてこれに従事し,主として拡大造林地を対象に1962年まで202,895haの調査を行ない,道有林野の土壌図を作成するとともに,285ヵ所におよぶ土壌断面の分析を行なった。
道有林は森林面積617,874ha(北海道 1965)をもち,北海道各地に分散しており,同じ道有林野でも地域によって土壌型の種類や理化学性に差異のあることが調査を進めていくにつれて判ってきた。
この土壌分類および調査法は,すべて国有林林野土壌調査方法書(林野庁 1955)によるものであるが,そのなかの土壌分類法はすでに大政(1951)が東北のブナ林地帯ではじめて用いられたもので,それは土壌断面の形態を野外で観察し決定できる土壌型による分類法である。土壌型はポドゾル,地下水土壌は別として,褐色森林土,赤色土,黒色土などはさらに水分系列によって分類されたもので,つまり褐色森林土壌群(B群)の場合には,乾性(BABB型)→弱乾性(BC型)→適潤性(BD型)→弱湿性(BE型)→湿性(BF型)とわけられるが,北海道はさきにも述べたように,広大で地域性に富むため,これらの基本型だけでは適合しない土壌型も現われた。そこで著者らは独特の小分けを試みこれにつけ加えた。
いうまでもなく大政の分類の基調をなすものはDokuchaevにさかのぼる土壌の生成論的な分類で,土壌を諸種の内的・外的因子の総合された「自然の産物」としてとらええものである(大政 1951)。 したがって著者の論文でも,まず北海道の自然的要因を明らかにすることからはじめられた。
さらに分析された資料をはじめは単に地理的理由から道北,道央,道東,道南西の4つに区分して整理し,これに検討を加えた。また北海道の主要樹種の1つであるトドマツ(Abies sachalinensis Mast.)造林木の地位指数と,18におよぶ土壌因子との相関を求め,トドマツの生長に影響する十数種の土壌因子を明白にすることができた。
また林木の根系が,果たしてどの程度の深さまで土壌に影響されているかをみるため,各因子ごとに深さとの相関係数をもとめ,もっとも高い相関のある深さを数字をもって示すことができた。
この調査,研究はもちろん著者のみによってなされたものでなく,多くの土壌調査員が協力して成しとげた成果であって,これをとりまとめたのが著者である。その主な調査員は,もと道有林課土壌調査係,古本忠,宮下進治,草野博光,小野寺宗昭,内田勉,江州克弘,久保正行,山根玄一らの諸氏である。
またこの調査のとりまとめをはじめる動機と決心を与えてくれたのは,九州大学農学部教授佐藤敬二博士であり,終始ご指導とご鞭撻を賜り,さらに同学教授青峯重範博士,同助教授宮島寛博士の両氏にも全般についてご叱正と有益な助言を賜った。ここに衷心より感謝の意を表する。なおとりまとめの過程で,北海道大学農学部教授佐々木清一博士,農林省林業試験場真下育久博士,同北海道支場蔵本正義技官らにも種々ご意見やお手数を煩らわした。ここに深く感謝とお礼を申し上げる。さらにご便宜とつねに心から激励をいただいた大野喜久夫場長をはじめ,場員に厚くお礼を申し上げる。


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