北海道林業試験場報告-第20号-

(昭和57年12月 発行)

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トドマツの近親交配が種子および苗木形質におよぼす影響 (PDF,578KB) p.1~19
畠山末吉・石倉信介
本研究はトドマツ(Abies sachalinensis Mast.)の繁殖様式と関連したトドマツの交配様式とそれぞれの交配様式から生産される種子の発芽や苗木の生育などについて検討したものである。
一般に,風媒植物の自然受粉においては自株内交配による自家受粉,近隣個体間の他家受粉,林分内の任意個体との他家受粉などが考えられる。ここでは,トドマツ林において,自家受粉がどのような割合でおこるか,また,それが結実種子の発芽やその後の生育にどのような影響をあたえるかについて検討した。
天然林内での交配実験は球果害虫の発生や人工交配の袋かけ,受粉操作やその後の管理などに問題があり,予期した成果がえられなかった。そのため,道内各地から取集したトドマツクローンの林分で人工交配による自家受粉,他家受粉および自然受粉種子を採取し,さらにそれらから育成した苗木を供試した。
クローン林分には,同一クローンに属するラメートが各3本ずつ隣接して植栽されているから,通常の人工林や天然林と比較して自殖しやすい受粉条件とおもわれる。したがって,自然受粉によって生産された種子や苗木に含まれる自殖個体が自然受粉家系集団の生産力にどのような影響をあたえるかの検討には好都合であると考えられる。

トドマツ人工林の天然下種更新(3)
-固定試験地における8年間の稚苗の推移-
(PDF,1.42MB)
p.21~29
福地 稔・水井憲雄・菊沢喜八郎・水谷栄一
北海道のトドマツ人工林が主伐期を迎え,次代林分の造成を考えることが必要となってきた。伐期に達した林分を皆伐して再造林するよりも,天然更新による後継樹の保続ができれば非常に有効である。
一般に,トドマツ人工林では林齢30年頃から種子の結実がみられるが,林内に発生した稚苗は何年かのうちに消失したり,生長を停止するものが多い。
そこで,どのような場所で更新しているのか,また,更新のための補助的な手段としてどのような施業が必要かについて検討した。このために,道内いくつかの高齢林分を実態調査し,更新の良否と更新条件を把握する方法(菊沢ら,1980)と,一箇所の林分で長期間にわたって種子の落下から稚苗の発生・消失過程を継続して観察する方法(水井ら,1979)の2つを並行して実施してきた。ここでは,第I報(水井ら,1979)にひきつづいて試験地を設定後8年間の調査結果を報告する。

個体サイズと立木密度-トドマツ密度試験でみられた最適密度について- (PDF,912KB) p.31~43
清和研二・久保田泰則
立木密度は林分の量的,質的構造を決定する大きな要因である。これまでにも密度を主要因とした林分の平均値レベル,総量レベル,個体レベルでの法則性が定式化されてきている。しかし,その法則性は主に林冠の閉鎖以後の林分構造に関するものであり,閉鎖以前の林分構造との関連が十分に検討されていない。つまり,植教室度の違いにより閉鎖するまでの林分構造には差異があらわれてくるはずであり,その差異を閉鎖以降の林分構造を追う場合の出発点としなければならない。しかし,そのつながりが十分に考慮されていなかったといえる。
ここでは,閉鎖以前の林分から閉鎖後かなり時間の経た林分まで,低密度から高ま度にかけて十分に広い密度の幅をもったトドマツ同齢人工林の解析を行った。
解析の結果,丁度,閉鎖に達したばかりの林分で,平均値レベルおよび個体レベルで,個体のサイズを大きくする方向に最適な密度があることが認められた。そこで,その最適密度出現のメカニズムと意味について検討した。
調査を援助され,また,数々の助言を頂いた当場造林科の菊沢喜八郎,浅井達弘(現道北支場),福地 稔,経営科の佐々木信悦(現池田林務署),阿部信行(現道北支場)の各氏に深く謝謝の意を表する。

カラマツ人工林の枝打ち試験 (PDF,496KB) p.45~61
浅井達弘・菊沢喜八郎・福地 稔・水谷栄一
木材に需要構造の変化にともない,カラマツに対しても大径優良な構造材生産がのぞまれている。優良材としての条件には,樹幹が通直で完満,横断面が正円に近く,材質的には偏心がなく,年輪幅が基準以下でそろっていて,製材した場合に無節または小節程度の材面が期待できることなどがあげられる。これらの条件は適正な密度管理や伐期の延長などによってその大部分が満足されるが,無節材を得るにはどうしても枝打ちが必要になってくる。
しかし,カラマツノ枝打ちはまったくといっていいほど実施されていない。またカラマツの枝打つに関する報告も,わずかに北海道庁林業試験場(1927),柿原(1973)の報告がみられる程度で,得られる情報量はきわめて少ない。
こうした中で筆者たちは,優良大径材生産のための保育技術の一環としての枝打ち技術を確立するため,1977年から3年間,カラマツの枝打ちに関するいくつかの試験や調査を行った。その内容は枝の枯れ上がりの機構を解明するための無間伐林分の調査,枝打ち木と無処理木の節解析および事例報告である。この他に強度を3段階に違えた枝打ち試験を実施している。これらの一部はすでに概要を報告(浅井・菊沢,1979;浅井ほか,1980)した。個々では3年間の諸調査の結果を報告するとともに,優良大経材生産のための枝打ち管理図について考察した。
枝打ちの研究方向や実際の節解析の手法等について御指導・御供示をいただいた農林水産省林業試験場造林第二研究室長藤森隆郎博士,材質等についての御教示と材幹縦断の労をとって下さった北海道立産試験場企画室長山本宏氏をはじめ材質科,製材科の方々に感謝の意を表する。また現地での層別刈り取り調査にご協力いただいた北見林務署(当時)の古本忠氏(現厚岸林務署),広野秀夫氏(元林務部道有林管理室),大部分に調査に参加された道立林業試験場(当時)の北条貞夫氏(現渡島支庁),調査地を提供していただいた所有者の方々に感謝の意を表する。

広葉樹二次林の林分構造と生長量(2)
-道有林苫小牧経営区の例-
(PDF,254KB)
p.63~68
菊沢喜八郎・浅井達弘・福地 稔・水井憲雄・水谷栄一
私達は,広葉樹二次林を保育して優良大径材を生産することを目的にして研究をすすめている。この報告はその一環であり,道有林苫小牧経営区において行ってきた,林分構造の分析と生長量の測定の結果と,保育試験の概要についてのべる。
試験地設定にあたり,御援助いただいた,苫小牧林務署職員の皆様に感謝いたします。

苗木6種の根の伸長の季節変化 (PDF,990KB) p.69~79
佐藤孝夫・斉藤 晶
樹木の根がどのような伸びをするかということは,移植や管理,育苗などのうえから重要なことである。根の伸長の季節変化については,苅住(1963)がスギ・カラマツ・クロマツなど8樹種を,佐々木(1959)がスギ・アカマツ・カラマツの3樹種を調べている。また,LYR et.al.(1967)も8樹種の根と地上部の生長の季節変化を報告しており,その他にはKIENHOIZ(1934),HEAD(1966),金子(1960),本多(1960)などがある。これらは本州あるいは外国での調査例であり,気候の異なる北海道での報告としては田添(1933)と柴田ほか(1962)があるにすぎない。しかも田添はアカエゾマツ・エゾマツ・トドマツの稚苗の根の吸収力の季節変化を調べたなかで,根の伸長について若干述べているだけである。また柴田ほかはトドマツ・カラマツなど5樹種の根と地上部の生長の変化を調べているが,いずれも移植1年目の結果だけである。
このように根の伸長の季節変化に関する報告例はあまり多くなく,とくに北海道に分布あるいは広く植栽されている樹種についてはきわめて少ない。また根の伸長の季節変化は,移植1年目だけでなく2年目以降についても調べる必要がある。そこで今回イチイほか5樹種の,移植1年目と2年目の根の伸長の季節変化を調べ,さらに樹高生長や地温との関係について若干の考察をおこなったので報告する。

北海道における山腹植生工法の研究(2)
-道東地域での既施工地の実態-
(PDF,458KB)
p.81~96
新村義昭・伊藤重右ヱ門・清水 一・成田俊司
北海道における治山事業は,歴史が浅く,広範囲にわたる山腹植生工既施工地についての実態報告はこれまでみられなかった。筆者らは1979年から,道内の代表的な既施工地について経年変化の実態を把握するため,道南・道央地域で41斜面を調査し,報告した(新村ほか,1981 b )。本報告は,これに引きつづいて道東地域で行った調査結果であり,前報と同じく実態を考察することによって山腹植生工の施工方法を評価し,問題点を提示することに力点をおいている。
調査は,治山台帳による資料調査と現地調査とからなっている。現地調査は十勝支庁が施工した19斜面,浦幌林務署が施工した8斜面の計17斜面に加え,導入木本の調査のみを埋め戻し部と河床の2箇所で行った。
本論を述べるにあたり,現地調査に御協力下さった十勝支庁林務課治山係,浦幌林務署土木課治山係の関係各位に感謝いたします。


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