北海道林業試験場研究報告-第23号-

(昭和60年12月 発行)

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北海道における海岸林造成に関する基礎的研究 (PDF,2.44MB) p.1~108
伊藤重右衛門
本論文は,北海道における海岸林造成の基礎的研究をすすめるため,天然生海岸林の現況解析と造成地における検討や実証的な方法とから考察をくわえたものである。海岸林は犠牲林帯と主林帯とから構成され,犠牲林帯が主林帯を保護しその成立を保障している。カシワ,ミズナラ,イタヤカエデの3樹種はほとんどの地帯に適応する重要な海岸林用樹種であり,これらの樹種の更新により発生した稚樹や植栽木の生育は,林床植生による被圧や日射量に影響されるが,その程度はカシワ・ミズナラにくらべイタヤカエデはすくない。7~8mの期待樹高に到達する年数は,イタヤカエデ40年,カシワ・ミズナラは60年が指標となる。塩風害を電導度法によって調査すると,電導度と被害度とは高い相関があり,また耐塩性試験を塩水処理により行った結果,被害の消長は処理方法と樹種間で差がある。海岸林造成用苗木は実生,さし木,せん定育苗法などによる養成が可能である。火山灰地や泥炭地の試験林では耕うん地拵えなど改良工法の実施により,安定した適応樹種が見出され,林帯造成はいっそう確実となった。この研究が北海道の海岸林造成技術の発展と,海岸林のもつ多目的な環境空間の保全とに役立つと考えられる。

北海道胆振東部地域における斜面崩壊の発生頻度に関する研究 (PDF,962KB) p.109~124
柳井清治・薄井五郎・清水 一
斜面崩壊の発生頻度を明らかにするため,火山灰層(Ko-c2,Us-c,B-Tm)を用いて,崩壊地形の履歴調査を行った。調査地は,1980,1983年に斜面崩壊が多発した胆振東部地域(登別市登別温泉地区,富浦地区,白老町虎杖浜地区)である。発生頻度の推定は,斜面および崖錐,扇状地にトレンチを掘り,鍵層の分布と崩壊堆積物を測定する方法によった。
この結果,登別温泉地区における1983年の崩壊斜面は,1663年以降に発生した古い崩壊地の拡大崩壊であることが明らかになった。また,虎杖浜,富浦地区における崖錐,扇状地のトレンチ調査から,堆積形態は崩壊発生頻度の高い順にActive型,中間型およびDormant型の3つに区分され,1980年崩壊はActive型に発生する割合が高いことが判明した。これらのことから,斜面崩壊は,過去の崩壊地を中心に反復拡大化する傾向があり,発生頻度の高い地形に再発する可能性が高いと考えられた。


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