北海道林業試験場研究報告-第28号-

(平成2年11月 発行)

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海風環境下における天然生樹木の生態と砂防的応用 (PDF,1.47MB) p.1~53
薄井五郎
我が国は人口密度が高い上に平野面積が少なく,海岸地域まで土地利用が進んでいる。このため海岸林の造成・保全の必要性はますます高まっており,これを支援する研究が望まれる。
本道における海岸林造成に適する樹種の導入試験には,多大な努力が払われたが決定的な樹種は見いだされず,結局郷土樹種を長期的に保育してゆく方向がとられている。そこで本道の海岸林の主要樹種であるカシワ・ミズナラ・イタヤカエデを研究対象として,海風環境下におけるこれらの生育を調べ,造成・保全に応用できる方法を見いだすことを研究目的とした。まず,カシワ・イタヤカエデのすみわけの実態とその理由,また越冬期の枝条の枯死の進行およびその原因を調べた。その結果,飛来塩分の関与が明らかにされたため,飛来塩分の運動の法則性とその応用を検討し,また距離的・地形的分布図を作成して塩風環境と生育の関係づけを行った。次に海風の影響によって形成される風衝形について検討し,その形成過程を推測するモデルを提示して,海岸林の保全および造成目標を具体化するための根拠を示した。

カラマツ人工林の成長と立地要因の関係 (PDF,702KB) p.54~63
山根玄一・薄井五郎・江州克弘・菊地 健・寺沢和彦
需要構造の変化などに伴い,カラマツの良質大径木生産が指向されている。そのため,ここでは特にカラマツの大径木をより短い伐期で生産できる林地の立地要因について検討した。道内のカラマツⅠ等地とされている地域とその周辺において,高齢林145ヵ所の成長状態と立地要因を調査して,直径成長の大きい林地の立地条件をみいだす方法をとった。
直径成長は,林分密度の影響を大きく受けるが,地位の高い林地で大きいことがわかった。樹幹解析資料から基準林齢40年の地位指数曲線を作成した。数量化I類の方法により,立地要因から地位指数を推定するためのスコア表を,全調査地域と3つの地区それぞれについて作成した。全調査地域について,測定地位指数とこのスコア表による推定地位指数との重相関係数は0.844であり,地位指数に影響する立地要因のうちの71%はスコア表により説明できる。地位指数への各要因項目の寄与の度合いでは,土壌型が最も大きく,次いで乾湿区分度,露出度,表層地質,土壌構造のある深さ,水分地形,標高の順である。全調査地域について作成した地位指数推定のためのスコア表は全道への適用が可能と思われる。

北海道におけるカラマツ人工林の立木腐朽 (PDF,1.59MB) p.64~74
山根玄一・薄井五郎・北川善一
カラマツの良質大径木生産が指向されているが,カラマツ林の立木腐朽についての実態がよくわからず,育成期間の延長に伴う腐朽量の増加について不安感が強い。そこで,カラマツの腐朽について全道的な実態調査を行い,さらに,根株腐朽と立地条件との関係について調査した。
腐朽木の出現状態については486ヵ所の伐根調査を行った。根元腐朽木の本数率は平均8.2%であった。そのうちネズミ害を含む傷をもつ腐朽木が5.2%を占め,根株腐朽が多発する林地は少なかった。また,根元からの腐朽の進行速度は傷の有無に関係なく遅く,根元からの腐朽木の林齢60年時点における腐朽高は平均1m程度であると推定された。根株腐朽の発生は,地形に関連し,風害跡地と停滞水を生じるような排水不良地に多い。

トドマツ人工林の間伐試験(2)
-間伐7年後の葉量と葉齢構成-
(PDF,149KB)
p.75~88
水井憲雄・菊沢喜八郎・浅井達弘・清和研二
間伐後7年を経過した林齢30年生のトドマツ間伐試験地から,間伐方法別(無間伐,全層間伐,下層間伐の各林分)に径級の異なる各3本の個体を伐倒し,葉量を測定した。
単木の葉量は間伐方法によって異なった。全層間伐では中径木以上で葉量が多く,下層間伐では最も少なかった。推定した林分葉量は無間伐,全層間伐がともに16.6t/haであり,差がなかった。しかし,下層間伐では12.2t/haであり,他よりも少なかった。葉量の垂直分布を調べた結果,下層間伐では樹幹上方に集中していたのに対し,全層間伐では樹幹中央部の葉量が多い。齢別葉量の配分率によると,下層間伐では相対的に若い葉で構成されていたが,全層間伐では下層間伐よりも齢の高い葉の構成割合が高かった。
間伐方法による葉量や葉齢構成の違いは,間伐の効果として直径成長量に反映したとみられる。

トドマツ高齢人工林の収穫・更新試験(1)
-径級伐採後8年間の残存木の成長-
(PDF,2.73MB)
p.89~97
木幡靖夫
林齢48年生のトドマツ高齢人工林において,胸高直径32cm以上,36cm以上および40cm以上の立木を対象とした径級伐採を行い,伐採前後の林分構造の変化ならびに伐採後8年間の残存木の成長状況を解析した。直径32cm以上を伐採した試験区(Ⅰ区)では,材積伐採率が81%となり,皆伐跡地に近い林相を呈するに至った。直径36cm以上を伐採した試験区(Ⅱ区)では,材積伐採率が67%となり,一部に大きな裸地が出現したが,Ⅰ区ほど顕著ではなかった。直径40cm以上を伐採した試験区(Ⅲ区)では,材積伐採率が44%となり,Ⅰ区やⅡ区ほど大きな林相の変化は起こらなかった。伐採後の8年間に各区で伐採径級(I区32cm,Ⅱ区36cm,Ⅲ区40cm)に達した立木は,Ⅰ区は本数63本/ha,材積56.2/ha,Ⅱ区は74本/ha,87.7/ha,Ⅲ区は81本/ha,115.1/haとなり,それらの材積は全体の50~70%を占めるようになった。残存木の材積連年成長量は,l区3.0/ha,Ⅱ区5.4/ha,Ⅲ区6.4/haとなり,期首の材積に比例した。また直径成長率は,8年間の平均でI区2.1%,Ⅱ区1.9%,Ⅲ区1.4%となり,いずれの区でも対照区の成長率を上回った。残存木は林齢50年生を超えたにもかかわらず,まだ成長の衰える傾向が認められなかった。

大沢スギ採種園の着花,種子および種苗の特性 (PDF,1.29MB) p.98~106
菊地 健・大島紹郎
松前町・大沢スギ採種園の雄花および球果の着花(果)状態,並びに球果および種子の諸特性について調査し,採種木の断幹後における自然自殖率の推定および自殖弱勢について検討を行った。その主な結果を次に示す。
1 雄花の着生している個体が非常に少なく,園内の花粉親が限られている可能性が高いことが示唆された。
2 球果の大きさと球果1個当たりの種子数および1000粒種子重との間に正の相関が認められた。また,球果形状比は,家系ごとに差がある。
3 園内の自然自殖率は25%程度と推定され、過去に本州地方で報告されている値と同程度であった。

厚田村シラツカリの段丘斜面における天然生海岸林の群落学的研究 (PDF,935KB) p.107~123
斎藤新一郎・成田俊司・柳井清治
石狩川河口の右岸地域には,低地の水田・畑地と海岸段丘面上の畑地とに被まれた,狭い段丘斜面が存在し,カシワを主体にした天然生広葉樹の保安林がある。ここの森林は,全体として,日本海からの季節風に直面した斜面がカシワの純林で覆われており,耐海風性においてカシワが優れていることを示す。他方,季節風と斜めに面する,やや内陸側の斜面では,斜面下部にハルニレが主体の,中部~上部にイタヤカエデ,ミズナラ,シナノキが主体の林分が存在する。各樹冠は著しい風衝形を呈し,林冠高は6~15mである。カシワの14年間の成長量は,樹高が1m,胸高直径が3cmにすぎない。過去に伐採もあったとはいえ,耕地に開拓される以前の低地や段丘面上にも存在したであろう森林植生が,この段丘斜面に取り残されている。

林業試験場道南支場におけるクリ在来品種の生育と果実の品質 (PDF,4.35MB) p.124~132
館 和夫
北海道立林業試験場道南支場(函館市)に,1974年に設定したクリ品種・系統比較試験林内の38品種の栽培成績を調査した結果,生存率および果実の収量,品質などから,供試品種のうち下記の8品種が函館地区における適応品種と認められた。
〔ニホングリ品種〕(早生種)福来,東濃2号,大国早生,大和早生;(中生種)丹沢,岩手3号;(晩生種)有磨
〔中間グリ品種〕(中生種)北華


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