北海道林業試験場研究報告-第32号-

(平成7年3月 発行)

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樹木の根系の成長に関する基礎的研究 (PDF,1.66MB) p.1~54
佐藤孝夫
樹木の根系の成長特性を解明することを目的とし,北海道産樹木44種(針葉樹4種,広葉樹40種)を用いて,根端伸長の季節変化,根の垂直・水平方向への成長量および根の分布の経年変化,地上部の成長に伴う根系の形態の変化,根系への人為的な作用が樹木の成長に及ぼす影響を調査した。
針葉樹4種,広葉樹38種の植栽後2年間の根端の伸長を調べ,各樹種の根端伸長の開始時期,最盛期および停止時期は樹種によって異なることを明らかにし,根端伸長と地上部の成長との関係を4型に,根端伸長の季節変化を6型に類型化した。また,根端伸長は地温だけに影響されるのではないことを明らかにした。
カツラなど6樹種の根の成長量を3~5年間測定した結果,いずれの樹種とも垂直方向への成長量(根の深さ)は小さいが,水平方向(根の広がり)は大きいことを示した。また,水平方向への成長量と根の重量は地上部の大きさおよび重量に比例して増加すること,垂直分布と水平分布は樹種によって異なるが,多くの樹種では根系が枝張りを越えて広がること等を明らかにした。
アカエゾマツなど4樹種の稚樹などの根系を調査し,水平根を発達させることが個体の成長と維特にきわめて重要であることを示した。
根系に対する人為的な作用が樹木の成長に与える影響を検討した結果,根系の切断量,植栽密度,床替の有無,植栽時期別等が,地上部や根系の成長量および活着率等に大きく関係することが明らかになった。

北海道南部のサワグルミ林の成立維持機構に関する研究 (PDF,1.52MB) p.55~96
佐藤 創
本研究は,北海道南部松前半島におけるサワグルミを主体とする渓畔林の現在の構造・立地を明らかにし,それがどのようにして成立し維持されているかを構成種の生残,成長,生育環境などの生態的特性および地表面撹乱から明らかにする目的で行った。
サワグルミ林の成立場所は,沢沿いの土石流段丘,洪水段丘,沖積誰,崖錐であった。
サワグルミ林ではブナ林に比べて,過去に林冠を破壊するような撹乱が大面積で起きていた。
サワグルミ林の中でも,林冠木の樹齢のばらつきが小さい林分ではサワグルミの占める割合が高かったが,ばらつきの大きい林分では,ハルニレ,トチノキ,イタヤカエデ,ブナなどが混生していた。
異なる照度下での主要構成樹種の発生,成長,生残,階層出現パターンの比較から,ケヤマハンノキは先駆樹種で,オヒョウ,イタヤカエデ,トチノキ,ブナは遷移後期種で,サワグルミならびにハルニレ,キハダ,オニグルミはその中間のギャップ依存種であると結論づけられた。
沢に沿った大面積の撹乱により裸地が生じた場合は,サワグルミ同齢林が成立することが多かった。そこは河幅の狭い谷底であるため光資源が少なく,先駆樹種であるケヤマハンノキは成林しにくいと考えられた。
サワグルミ林が成立した後,林冠木の倒壊がほとんどない状態で,サワグルミの寿命である100年が経過した後は,遷移後期種が林冠を占める割合が高いと考えられた。一方,少数の林冠木の倒壊によりギャップが形成されると,サワグルミと遷移後期種が同程度の確率で更新し,沢に沿った大面積で強度の撹乱により裸地が生じた場合は再びサワグルミの同齢林が成立すると考えられた。


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