北海道林業試験場研究報告-第42号-

(平成17年3月 発行)

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浮遊土砂の流出機構と微細土成分比率の解析に基づく流域評価方法の構築 (PDF,2.26MB) p.1~50
佐藤弘和
浮遊土砂に起因した社会問題の解決に向けた対策方法を構築するためには,流域開発による微細土流出機構とその発生源の変化を明らかにすることが重要である。本論は,土地利用別に異なる微細土の流出機構をそれぞれ解明し,流域管理の評価方法を構築することを目的としたものである。土地利用別の浮遊土砂流出特性を把握するために,森林流域,択伐流域,畑地を内包する流域において,浮遊土砂濃度や有機物割合をそれぞれ調査した。森林流域での微細土濃度オーダーは,無降雨時が100mgL-1,降雨時の最大濃度が102mgL-1であった。択伐流域では,伐採実施年で2,000mgL-1を超える微細土濃度が記録されたが,その翌年には濃度が低下した。畑地流域では,河口における出水時の微細土濃度オーダーが103mgL-1であり,畑地面積率が高い支流域ほど微細土流出が多かった。有機物割合は,森林流域では30%を超えたが,伐採直後の流域や畑地流域では10%前後に留まった。微細土の発生源は,森林流域が渓岸侵食や周辺斜面部からの流入,伐採流域が集材路由来の土砂,畑地流域が畑地からの流亡土砂であることがそれぞれ明らかになった。以上の結果は,森林流域からも微細土は流出しているが,人為攪乱が起こると新たな発生源が増えることで微細土濃度オーダーが増加するとともに,有機成分の濃度変動に比べて無機成分の濃度変動が大きいために有機物割合が低下するなどの成分比率変化が生じることを意味する。本論では,微細土の量的流出特性を表す指標である濃度オーダー指数と,高出水時の無機物・有機物の濃度比を利用した成分比指数を考案した。また,両指数を軸としたratio-orderダイアグラムを提示し,これにより判別された保全流域,監視流域,対策流域の流域区分に即した管理方針と流出抑制対策について提言した。

ブナの更新を目的とした播種造林試験-3年間の追跡調査より- (PDF,147KB) p.51~55
長坂晶子・長坂 有・今 博計・小野寺賢介
ブナの更新方法のひとつとして播種造林の可能性を検討するため,函館市内の天然林内のかきおこし施業地でブナの播種試験を行い,稚樹の生残と成長を3年間調査した。適正な播種密度や播種時期を明らかにすることを主な目的とし,併せてミズナラとの比較も行った。低密度区(20粒/㎡)の稚樹の生残率が最も高い傾向がみられ,発芽当年で8本/㎡,3年後に6本/㎡(=6万本/ha)という推移を示した。高密度区(80粒/㎡)では,小動物による種子の持ち去りや食害が集中することにより,生残率,成長ともに低くなった。このことから,播種密度は低密度区程度が効果的である可能性が示唆された。播種時期の違い(秋播きと春播き)によって,稚樹の生残数に差は生じなかった。播種密度の同じ(40粒/㎡)区におけるブナとミズナラの3年後の生残率は,それぞれ20%,55%と,ミズナラのほうが2倍以上高かった。


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