北海道林業試験場研究報告-第50号-

(平成25年3月 発行)

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マイマイガ北海道個体群における布バンドの捕獲効果 (PDF,749KB) p.1~6
原 秀穂
マイマイガLymantria disparの捕獲方法の一つとして北米でヨーロッパ個体群に対して行われている樹幹に粗い麻布(バーラップ)を巻き付ける方法について,2008~2009年に北海道(美唄市)個体群で効果の確認試験を行った。併せて白色不織布の捕獲効果について試験を実施した。マイマイガが大発生したカラマツ林での調査では,老齢幼虫と蛹どちらも個体数は不織布バンド木>無処理木,麻布バンド木>無処理木となり,また,両方のバンドへの集中が認められた。樹幹に布バンドを巻きつける方法は北海道個体群でも老齢幼虫や蛹の捕獲に有効であることがわかった。マイマイガの食害が観察されなかったトドマツ林で,蛹化がほぼ終了した時期に不織布あるいは麻布を樹幹に巻き,不織布・麻布2種類の布バンド木と無処理木とで産卵状況を比較した。卵塊数は不織布バンド木>麻布バンド木>無処理木となった。卵塊はバンド部分に集中的に産卵されていた。北海道個体群の雌成虫は布バンドに誘引されることが示され,誘引効果は布の色あるいは材質により異なる可能性が示唆された。

グイマツ雑種F1とカラマツ次代検定林の成長と材質の変異 (PDF,1.59MB) p.7~15
市村康裕・来田和人・藤本高明・内山和子・松本和茂・黒丸 亮
グイマツ雑種F1とカラマツの建築用材への利用拡大を目的として北海道の東部に造成した次代検定林において成長形質である胸高直径,樹高,材質形質である丸太ヤング係数,幹曲り率の家系間変異を調べた。グイマツ雑種F1では成長形質が母樹間,花粉親間で異なる傾向にあり,材質形質は母樹間で異なっていた。カラマツでは幹曲りが母樹間,花粉親間ともに違いがなく,成長形質,ヤング係数は検定林で結果が異なっていた。家系別の丸太ヤング係数はグイマツ雑種F1が11.9~14.9GPa,カラマツが9.44~13.7GPaであり,建築用材として十分な強度を有していた。両樹種とも成長と材質に相関がなく,それぞれ独立して選抜できることが分かった。グイマツ雑種F1の樹高,丸太ヤング係数,幹曲り率,カラマツの丸太ヤング係数の狭義の遺伝率は,0.09~0.53であり,他の形質より高い家系選抜の効果が認められた。

フェロモントラップによるカラマツヤツバキクイムシ・モニタリング方法の検討 (PDF,960KB) p.17~22
原 秀穂
カラマツヤツバキクイムシIps cembraeのモニタリング技術確立のため,道東地域の6調査地で4~7年間,フェロモントラップによる成虫捕獲を実施した。捕獲数はたいてい春(越冬世代)から夏(次世代)の間で増加し,夏から翌年春(夏世代の次世代=越冬世代)の間で減少した。風害地域内の調査地4カ所では風倒木整理翌年の夏の捕獲数が非常に多かった。風害地域から離れた調査地2カ所の結果から平時の捕獲数(トラップ2個合計)を春が500未満,夏が2,000未満と仮定し,風害地域の調査地4カ所の増加状態の期間を推定した。夏の捕獲数から推定した増加状態の期間は風害後2~6年であり,これまでに報告された生立木被害発生期間とほぼ一致したことから,増加状態の判断基準になる可能性が示された。捕獲数と気温や前世代の捕獲数との間に明瞭な関係は認められなかった。


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