北海道林業試験場研究報告-第54号-

(平成29年3月 発行)

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エゾシカ低密度地域におけるライントランセクト法及びカメラトラップによる生息密度指標の評価 (PDF,1.6MB) p.1~8
南野一博・雲野 明・明石信廣
道有林空知管理区イルムケップ山の東側に位置する保残伐実験地周辺において,ライントランセクト法を用いてエゾシカの生息密度を推定するとともに,調査ライン沿いに自動撮影カメラを設置し, 100カメラ稼働日あたりのエゾシカの撮影枚数を撮影頻度指標(RAI)として算出した。ライントランセクト法は,調査地内に約42kmの調査ラインを設置し,2014年6月と10月にそれぞれ4日間実施した。6月の調査では,4日間で計4頭のエゾシカが観察され,10km走行あたりの観察数は0.24頭であった。10月の調査では,4日間で21頭,10km走行あたり1.35頭が観察された。10月の観察結果を用いて距離標本法による生息密度を推定した結果,調査地内のエゾシカの生息密度は3.5頭/km2(95%信頼区間:2.3~4.5頭/km2),生息数は206頭(132~321頭)と推定された。一方,カメラトラップによる全期間を通したRAIは14.7であり,月別RAIは,0.0~31.7と大きく変動し,1月~3月までの期間はエゾシカが撮影されなかった。また,地点別RAIでは,86.2と高い地点がある一方,エゾシカが撮影されなかった地点もみられた。これらのことから,カメラトラップは,低密度地域では設置地点によりRAIが大きくばらつくものの,生息状況の季節変化を把握する有効な手法となると考えられた。

リン化亜鉛殺そ剤のカラマツとトドマツに対する薬害試験 (PDF,990.4KB) p.9~17
中田圭亮・対馬俊之・南野一博
リン化亜鉛1%粒剤を対象に薬害試験として,カラマツとトドマツの2年生造林地において,規定の2倍量にあたるha当たり2kgの粒剤を配置し,造林木に対する当該粒剤の薬害発生の有無を1成長期にわたって調査した。カラマツとトドマツの造林木の樹高成長では配置区と無配置区の間で有意差は観察されなかった。また葉の変色等(クロロシス,縮葉)のほか,頭梢部や側枝の凋萎は両樹種共に観察されなかった。今回の処理条件下では,リン化亜鉛1%粒剤のカラマツとトドマツの造林木に対する薬害症状は認められないと判定された。

カラマツの天然更新地が広葉樹林化,混交林化しやすい原因の推定 (PDF,1.3MB) p.19~22
中川昌彦
カラマツの天然更新地が広葉樹林化,もしくは広葉樹との混交林化しやすい原因を推定するため,最近カラマツの天然更新施業が行われた林地でカラマツ稚樹の枯損原因の調査と天然更新した稚樹の毎年の生長量調査を行った。稚樹の調査を3年間行ったところ,樹高50~150cmのカラマツ稚樹のほとんどがエゾヤチネズミの食害によって枯損したが,食害を受けた広葉樹はなかった。また,シラカンバやウダイカンバの稚樹のほうがカラマツの稚樹よりも生長が早かった。これらのことから,カラマツの稚樹がエゾヤチネズミによる食害を受けやすいことや,シラカンバやウダイカンバの稚樹よりも生長が遅いことが,カラマツの天然更新地が広葉樹林化,広葉樹との混交林化しやすい理由として考えられた。

北海道内のグイマツの遺伝資源情報 (PDF,1.5MB) p.23~29
石塚航
グイマツは千島列島の一部とサハリン(樺太)に自生地が限られ,自生地外の北海道ではカラマツ属交雑育種の母樹としての利用が進むが,どこから,いつ頃に持ち込まれたか等の詳しい来歴は不明なことが多い。そこで,グイマツ遺伝資源情報の整理のため,北海道内で選抜されたグイマツ精英樹全106家系と,来歴が確かなグイマツについて,台帳や文献をもとに来歴,とくにその由来地に関する記載を調べた。その結果,推定千島系統に仕分けられたのが精英樹20家系 (19%) と国泰寺・狩場神社のグイマツ3個体,推定樺太系統に仕分けられたのが精英樹57家系 (54%) となった。各推定系統の精英樹の選抜地には地理的な偏りもみられた。

研究資料 トドマツ人工林における保残伐施業の実証実験(REFRESH)における実験区の伐採前の林分組成 (PDF,1.7MB) p.31~45
明石信廣・対馬俊之・雲野明・長坂晶子・長坂有・大野泰之・新田紀敏・渡辺一郎・南野一博・山田健四・石濱宣夫・滝谷美香・津田高明・竹内史郎・石塚航・福地稔・山浦悠一・尾崎研一・弘中豊・稲荷尚記 新田紀敏
日本の人工林は,1960~1980年代に植栽されたものが多く,まもなく主伐期を迎えるが,従来のような大面積皆伐,一斉植栽による更新は,生物多様性の保全や水土保全機能などの公益的機能への悪影響が懸念される。近年,欧米では,伐採時に一部の樹木を保残して複雑な森林構造を保全する「保残伐」の検証実験が各地で行われている。そこで,北海道,北海道大学農学部森林科学科,森林総合研究所北海道支所,北海道立総合研究機構林業試験場は,北海道・芦別市,赤平市,深川市にまたがる北海道有林空知管理区225~250林班,約5,887haを対象として,2013年からトドマツ人工林における保残伐施業の実証実験(Retention Experiment for plantation FoREstry in Sorachi, Hokkaido, REFRESH)を開始した。3段階の密度の広葉樹単木保残区,人工林の中央付近0.36haを保残する群状保残区,人工林皆伐区,1ha程度の小面積を皆伐する受光伐区,伐採をしない広葉樹天然林対照区と人工林対照区をそれぞれ3セット設定した。本資料では,実証実験の各実験区における伐採前の樹木の本数,材積及び胸高断面積をとりまとめた。

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