北海道林業試験場研究報告-第56号-

(平成31年3月 発行)

第1号 第2号 第3号 第4号 第5号 第6号 第7号 第8号 第9号 第10号
第11号 第12号 第13号 第14号 第15号
第15号別刊
第16号 第17号 第18号 第19号 第20号
第21号 第22号 第23号 第24号 第25号 第26号 第27号 第28号 第29号 第30号
第31号 第32号 第33号 第34号 第35号 第36号 第37号 第38号 第39号 第40号
第41号 第42号 第43号 第44号 第45号 第46号 第47号 第48号 第49号 第50号
第51号 第52号 第53号 第54号 第55号 第56号


カラマツ類の苗木の成長動態と次代検定に向けた評価 (PDF,888KB) p.1~13
石塚航・成田あゆ・今 博計・佐藤弘和・黒丸 亮・来田和人
カラマツ類における優良な個体と系統の選抜を推進し,加速させるためには,効率的な次代検定が求められる。それには若齢時の成長把握や,次代検定に向けて留意すべき点の把握が欠かせない。そこで,グイマツ×ニホンカラマツ(カラマツ)の人工交配家系(雑種F1群)とカラマツ精英樹間の自然交配家系(カラマツ群)の苗木を用いて,苗畑での育苗段階における成長と生残の推移を調査するとともに,次代検定林を3ヶ所(北見,士別,岩見沢)に造成し,検定材料を確保するという観点から考察を行った。播種後3年間の苗木数と苗木の成長の推移を家系ごとに把握し,種子の発芽率は採種年と家系により大きく異なること、毎年の床替えを経ても,異なる苗齢の成長形質間に相関が認められること,雑種F1群内で成長に特に秀でる家系はどの苗齢でも共通したこと,カラマツ群内のほとんどの家系の成長は,苗齢が上がるにつれて事業用カラマツの成長よりも明瞭に秀でるようになったことがわかった。雑種F1群の成長や発芽率には、花粉親よりも母樹の違いが大きく影響する傾向があった。交配・採種年や母樹の考慮,また,種子を得やすい自然交配家系の利用は苗木数の確保に寄与するとみられ,植栽できた検定林数に直結したことから,効率的な次代検定のための重要な事項だと考えられた。

道南スギ人工林の地位指数曲線の推定 (PDF,0.97MB) p.15~19
滝谷美香
北海道南西部に位置する渡島半島に植栽されているスギ人工林を対象に,収穫予測を行うために必要な地位指数曲線の推定を行った。渡島半島全域にわたる431林分のデータを用い,地位指数曲線の基となる林齢と上層木の平均樹高との関係に対して,Gompertz関数,Mitscherlich関数及びChapman - Richards関数に対して非線形回帰を行ったところ,樹高成長曲線としてChapman - Richards関数が選択された。この樹高成長曲線を地位指数曲線のガイドカーブとし,地位指数10〜30の地位指数曲線群を作成した。

美唄山(北海道空知地方)の維管束植物相 (PDF,1.79MB) p.21~30
新田紀敏
北海道空知地方にある美唄山で森林植物相を調査した。確認できたのは362分類群,89科,232属,350種であった。標高900m以上を中心に83分類群の高山植物が見られた。

DNA情報によるグイマツ精英樹2系統の識別とその利用 (PDF,1.03MB)

p.31~47
北海道立総合研究機構林業試験場、森林研究・整備機構森林総合研究所林木育種センター北海道育種場
北海道ではグイマツ雑種F1の利用が進み,特定のグイマツ精英樹を母親とした優良な種苗も開発されている。今後の育種材料や採種園の管理,拡充のため,既存の遺伝子マーカーを用いて2系統のグイマツ精英樹(中標津5号、中標津3号)とどちらかが片親となっている交配世代の識別を行った。遺伝子型を判定した結果,用いた遺伝子マーカーセットで明確に2系統のクローン個体や次世代を区別できることがわかった。同時に,林業試験場の有する中標津5号と中標津3号クローンはともに中標津5号の遺伝子型を有していたことや,台木管理等に起因する他の遺伝子型検出例があることがわかったことから,今後,DNA情報を活用した育種材料の修正や丁寧な管理を図っていくことが必要だと考えられた。

研究資料 グイマツ雑種次代検定林の家系名変更に伴う成長・材質形質推計値の修正 (PDF,687KB) p.49~55
来田和人・石塚 航・今 博計・黒丸亮
最新のDNA解析の結果,北海道立総合研究機構林業試験場に植栽保存されているグイマツ精英樹「中標津3号」クローンは中標津5号と同一であることが判明した。この「中標津3号」クローンを用いてカラマツと交配させた雑種次代家系は,材積や材の強度,幹の通直性に優れていると評価され,「中標津5号」クローンを用いた雑種次代家系とともに優良家系として選抜されたことから,DNA解析結果を踏まえた家系情報の修正と,成長や材質の再評価が必要となった。本資料では,中標津3号とされていた精英樹を種子親とする家系を中標津5号を種子親とする家系に修正し,過去に評価された成長・材質形質である林分材積,材密度,林分幹炭素貯蔵量,丸太ヤング係数,幹曲りの再計算を行った。これによって,DNA解析結果に基づいた中標津5号家系の成長・材質形質を示すことができた。同家系におけるいずれの形質でも,再計算前と再計算後には統計的な違いがなく,推定誤差の範囲内であると考えられた。また,中標津5号家系と他の種子親の家系を比べると修正前と修正後で相対的な優劣(成長や材質の良否)の関係に大きな変化はなかった。

ページのトップへ