【普及奨励事項】
えん豆「北育37号」に関する試験成績  (昭和38〜49年)
                    道立北見農試普通作物科

育種目標:青えん豆について、短稈・大粒・良質・多収品種の育成

来歴−
交配年次: 昭和38年
交配場所: 道立十勝農試
組合せ: 十育11号×620 2F1(アルダ−マン×5601−125)
育成場所: 道立北見農試
育種方法: F2〜F5集団育種 F6以降系統育種
育成経過: 昭和45年生検予備 (系統名「北系6号」)
昭和46年〜49年生検 系適 (系統名「北育37号」)
昭和47年〜49年特検 現地試験
世代: 昭和49年 F11

特性−
 (1) 形態的特性
 花色・葉色・莢色などは「改良青手無」に類似するが、葉・莢はやや大きい。草丈は「改良青手無」よりやや低くい半憂性の硬莢種で、「改良青手無」に比し一莢内粒数は約40%多く、子実1.000粒重は15〜20%重い。子実の形は「改良青手無」に類似するが、粒色は「改良青手無」より緑色が濃い。
 (2) 生態的特性
 成熟期は「改良青手無」並み〜2日程度遅い晩生種で、収量は「改良青手無」より15〜20%多い。しかし大粒の特性が発揮されないような条件下では「改良青手無」より減収する場合もある。また収量の安定度「改良青手無」と大差ない。
 倒状は「改良青手無」並みで、腐敗粒の発生は「改良青手無」よりやや多いが、子実の褐色粒の発現はすくなく、外観品質は「改良青手無」並みである。
 (3) 加工適性
 煮豆・甘納豆・いり豆・餅などの加工適性は「改良青手無」と差がない。

主要な具体的デ−タ
 (1) 北見農試成績 (昭和46〜49年 4ヶ年平均)
品種および
系統名
開花始
(月日)
成熟期
(月日)
草丈
(cm)
分枝数
(本)
着莢数
(個)
一莢
粒数
10a当り 1.000
粒重
(g)
屑豆
歩合
(%)
品質
総重
(kg)
子実重
(kg)

(%)
北育37号 6. 30 8.  11 99 2.2 25.0 3.40 587 231 122 367 17.5
改良青手無 6  29 8.  11 119 2.7 34.8 2.43 574 189 100 314 145 中下

 (2) 各農試における成績
品種および
系統名
中央農試 (昭46〜48年 3ヶ年平均) 原々種農場 (昭46〜49年 4ヶ年平均)
成熟期
(月日)
草丈
(cm)
10a当り 1.000
粒重
(g)
屑豆
歩合
(%)
成熟期
(月日)
草丈
(cm)
10a当り 1.000
粒重
(g)
屑豆
歩合(%)
子実重
(kg)

(%)
子実重
(kg)

(%)
北育37号 8.  10 72 177 121 368 11.5 8.  3 75 198 119 392 11.7
改良青手無 8   10  80 146 100 309 6.7 8   4 82 167 100 348 6.1

品種および
系統名
上川農試 (昭46〜49年 4ヶ年平均) 十勝農試 (昭46〜49年 4ヶ年平均)
成熟期
(月日)
草丈
(cm)
10a当り 1.000
粒重
(g)
屑豆
歩合
(%)
成熟期
(月日)
草丈
(cm)
10a当り 1.000
粒重
(g)
屑豆
歩合(%)
子実重
(kg)

(%)
子実重
(kg)

(%)
北育37号 8.  10 67 197 121 373 7.7 8.  5 96 180 89 360 13.6
改良青手無 8.  2 75 163 100 324 6.1 8.  4 124 202 100 341 8.2

 (3) 現地試験成績
品種および
系統名
端野町 (昭47〜49年) 女満別町 (昭48〜49年) 中札内村 (昭47〜49年)
10a当り 1.000
粒重
(g)
10a当り 1.000
粒重
(g)
10a当り 1.000
粒重
(g)
子実重
(kg)

(%)
子実重
(kg)

(%)
子実重
(kg)

(%)
北育37号 202 102 34.9 219 113 345 172 96 362
改良青手無 198 100 331 194 100 38 179 100 322

適用地帯ならびに栽培上の注意
 (1) 適用地帯
 主として網走および上川管内の青えん豆栽培地帯
 (2) 栽培上の注意
 大粒の特性を十分発揮させるため、栽培ほ場の地力対策には十分注意する。また過度の密植や多肥、あるいは遅播は避け、腐敗粒発生防止のため適度な倍土などを行ない、莢の接地をすくなくするなどの配慮が必要である。