【普及奨励事項】
渡育214号の概要              北海道立道南農業試験場作物科


1.特性一覧表
系統名:渡育214号 組合せ:北陸77号×そらち
特  性 長所:1.良食味、良質
   2.いもち耐病性
   3.初期生育
短所:1.耐冷性
採用県および
普及見込面積
北海道 1,700ha
系統:品種
/形質
渡育214号 さちほ ユーカラ (標準品種)
マツマエ
(比較品種)
巴まさり
早晩性 晩の早 中の晩 晩の早 晩の中 晩の晩
草型 穂数型 偏穂数型 穂数型 中間型 穂数型
出穂期 8月4日 8月5日 8月6日 8月7日 8月12日
成熟期 9月21日 9月21日 9月24日 9月28日 10月3日
稈長(cm) 70 67 69 74 83
穂長(cm) 17.4 16.9 17.6 18.0 18.3
穂数(本/㎡) 439 404 443 399 525
芒性 稀短 極稀極短 稀短
ふ先色 黄白 黄白 黄白 淡褐 赤褐
脱粒性
耐倒伏性 中〜ヤ強 ヤ強 ヤ弱
葉いもち病 ヤ強〜強 中〜ヤ強 ヤ弱
穂いもち病 ヤ強〜強 中〜ヤ強 ヤ弱
障害型耐冷性 ヤ弱 ヤ弱〜中 ヤ強
遅延型耐冷性
玄米重(kg/a) 46.5 40.2 44.4 49.4 45.9
玄米千粒重(g) 21.3 22.3 21.8 23.0 20.6
玄米品質 上下下 上中下 上中 上下上 中上
食味 ヤ良
調査地:北海道立道南農業試験場
調査年次:昭和50年〜昭和55年(成苗標肥栽培)
品種候補名


2.渡育214号の特記すべき特徴
 玄米は、やや小粒であるが良質であり、検査等級は「マツマエ」と同程度である。
食味は「巴まさり」と同程度か、やや優るものと判定されている。米粒および炊飯の物理・
科学性特性では「巴まさり」よりも優るものと判定される。
欠点としては、障害型耐冷性が「やや弱」に属するものと判定される点であるが、平年の
気象条件下における収量性は「マツマエ」に匹敵するものが期待できる。
初期生育は良好である。

3.奨励品種に採用する理由
 最近の国内での産米事情の変化に対応して、北海道における唯一の銘柄米である
「巴まさり」と同程度か、やや優る良食味と「マツマエ」の良質・多収性に匹敵する形質
を備えた特性を生かし、道内では一番低温出現頻度の少ない押し渡島中南部および
檜山南部地帯における「巴まさり」(晩性の晩)および「マツマエ」(晩生の中)に対する
「晩生の早」としての配合品種として、また、「マツマエ」の一部代替品種として導入し、
良質・良食味により、北海道産米の声価向上に貢献しうるものと考えられる。

4.渡育214号の普及見込地帯
①渡島支庁管内中部(大野町・七飯町・上磯町および函館市)
②     〃   南部(知内町・木古内町・松前町および福島町)
③檜山支庁管内南部(江差町・上ノ国町・厚沢部町・乙部町・熊石町および奥尻町)