摘録
空育139号の特性概要
系統名 空育139号 組合せ 上育397号*/空育125号
特  性 《長所》
 ①早生・良食味である。
《短所》
 ①出穂の変動が大きい。
 ②収量が「空育125号」並ないしやや劣る。
採用県および
普及見込面積
   北海道  20,000ha
調査地 中央農業試験場稲作部(岩見沢市) 上川農業試験場(旭川市)
調査年次 平成2年〜平成4年(中苗標肥) 平成2年〜平成4年(中苗漂肥)
系  統
品種名形質
空育
139号
対象品種

上育
393号
対象品種

空育
125号
比較品種

きらら
397
空育
139号
対象品種

上育
393号
対象品種

空育
125号
比較品種

きらら
397
出穂期の早晩性
成熟期の早晩性
草  型
早生の中
早生の晩
穂数型
早生の晩
早生の晩
偏穂数型
早生の晩
早生の晩
偏穂数型
中生の早
中生の中
穂数型
早生の中
早生の晩
穂数型
早生の晩
早生の晩
偏穂数型
早生の晩
早生の晩
偏穂数型
中生の早
中生の中
穂数型
出穂期(月・日)
成熱期(月・日)
登熟日数(日)
7.30
9.14
46
8.2
9.16
45
8.1
9.14
44
8.6
9.22
47
7.26
9.12
48
7.29
9.13
46
7.29
9.12
45
8.1
9.17
47
稈長(㎝)
穂長(㎝)
穂数(本/㎡)
55
16.3
662
64
17.9
532
58
15.9
564
59
16.6
640
53
16.2
739
66
17.3
578
59
15.7
667
60
17.3
681
芒性
ふ先色
脱粒性
中短
黄白

黄白
稀短
黄褐
稀短
黄白
中短
黄白

黄白
希短
黄褐
稀短
黄白
耐倒伏性
障害型耐冷性
葉いもち病耐病性
穂いもち病耐病性
や強
や強〜強

中〜や強
や強〜強

や強
中〜や強
や強〜強

中〜や強
や強

 
玄米重(kg/a)
玄米重標準比(%)
玄米千粒重(g)
玄米等級
玄米品質
49.7
100
20.5
1中下
上下上
49.1
99
20.3
1下
上下上
49.6
(100)
20.4
1中
上下上
51.9
105
21.0
1下
上中下
53.1
98
21.5
1下
上下上
54.6
100
21.5
1下
上下上
54.4
(100)
21.6
1下
上下上
57.6
106
22.3
1下
上下上
食 味
アミロース含量(%)
蛋白含量(%)
アミログラム.MV**
上中上
19.0
8.8
521B.U.
上中
21.0
8.5
438B.U.
上中
20.2
8.6
489B.U.
上中上
20.6
8.1
497B.U.
上中上
19.1
7.5
532B.U.
上中
21.1
7.2
483B.U.
上中
20.2
7.4
503B.U.
上中上
20.3
6.8
470B.U.
注1)上育397号(*):きらら397
  2)MV(**):最高粘度

2.空育139号の特記すべき特徴
 早生、良食味、耐冷性、いもち病耐病性である。

3.本系統を奨励品種として採用する理由
 現在、北海道産米については玄米品質および食味の同上が強く要望されている。
 北海道における最近の基幹品種は「きらら397」「ゆきひかり」「空育125号」で、これら3品種で粳作付面積の約95%を占める。その中で、熟期の類似している「きらら397」「ゆきひかり」に偏重している。不適地への作付けは良質・良食味米生産上好ましくなく、その要因として早生で「きらら397」並の良食味品種がないこと、並びにここ数年気象条件に恵まれたことがあげられる。
 「生育139号」は食味が「きらら397」並で、耐冷性、いもち病耐病性は「空育125号」並であり、かつ出穂が「空育125号」より早いので、道北、道東等の気象条件の厳しい地帯でも栽培可能であり、また道央道南早生種地帯においても、熟期配分を考慮した良食味早生品種としての活用が可能である。「空育139号」の収量性は「生育125号」「上育393号」並ないしやや劣るが食味は両者より優る。したがって、「空育139号」を「生育125号」及ぴ「上育393号」の殆どに置き換え、かつ、作付け基準に基づく適正な熟期配分を推進することにより、早生品種地帯の食味水準は向上するとともに、道産良食味米の安定生産に寄与する。

4.普及見込み地帯
(1)栽培地帯:網走、上川、留萌、空知、石狩、後志、胆振・日高の各支庁と渡島および桧山支庁の北部
(2)対象品種:「空育125号」「上育393号」
(3)現地試験における地域別収量指数(対空育125号、網走管内は対上育393号)標肥/多肥