成績概要書(作成平成10年1月)>
課題の分類 研究課題名:青果用ごぼうの貯蔵法 「ごぼうの高品質貯蔵確立試験 予算区分:道費 担当者: |
1.目的
ごぼう生育中の内部成分の推移を調査・検討し、収穫適期の解明を行い、貯蔵中の品質変化に及ぼす貯蔵条件の影響を明らかにして、良質ごぼうの出荷期の延長および安定出荷のための貯蔵条件を明らかにする。
2.方法
1)収穫適期の解明(平成7年、8年)
供試品種:柳川理想 試験圃場:7,8年由仁町三川 ;8年中央農試
調査項目:葉重、根重、乾物率、糖質、クロロゲン酸
7月上旬〜11月下旬にかけて経時的に調査を行い、一回につき20〜30本を供試
2)貯蔵による品質変化(平成6年、7年、8年)
(1) 市販ゴホウの乾物率の季節変動 :量販店にて購入したごぼうの品質調査
(2) 貯蔵条件が品質に及ぼす影響
供試品種:柳川理想(由仁町三川) 貯蔵期間:11月下旬〜3月
処理:6年度 温度 (1,3,7,10℃)×包装(ポリエチレン包装0.03mm)、無包装 7年度 温度 (1,3,6℃)×包装、無包装(段ボール箱)
8年度 温度 (1,3,6℃)×包装、包装+りんご、無包装(りんご:ハックナインをごぼう3kgにつき2個封入)
調査項目:重量歩留まり、萌芽、発根、糖質
3.結果の概要
1)晩春まきごぼうの収穫適期は品質重視の場合 乾物率、フクトオリゴ糖、糖質含量の推移から勘案して、10月上旬頃、根重重視の場合11月上旬ごろと考えられた。乾物率、糖質含量を高い状態で収穫するには葉刈り取り後直ちに収穫するのがよいと思われる。
2)市販品の品質は4月〜7月まではかなり劣り乾物率は15%以下であった。7月以降は乾物率は20%以上で推移した。乾物率20%以上が貯蔵の目安の一つと考えられた。
3)貯蔵温度が低いほど重量歩留まりは高く推移した。逆に、貯蔵温度が高いほど発根、萌芽、腐敗が進みやすかった。 ポリエチレン包装により重量歩留まりは高く維持されたが、萌芽と発根は無包装より増加した。乾物率は若干低下するものの3〜4ヶ月経過後も20%以上であった。温度が低いほど低分子の糖類が増加したが、フラクトオリゴ糖は10g/100g以上含まれていた。ポリエチレン包装にりんごを入れることにより萌芽、発根は抑えられた。
4)以上の結果から収穫期、貯蔵期間の指針を作成した。
表1 貯蔵中のごぼうの萌芽、発根調査(平成8年度)
調査月日(貯蔵日数) | |||||||
貯蔵 ℃ | 12.24 (25日) | 1.08 (40日) | 1.23 (55日) | 2.10 (75日) | 3.07 (100日) | 3.31 (124日) |
|
段ボール包装 | 1 | *0( 0) | 0( 0) | 0( 0) | 0( 0) | 1( 0) | 1( 2) |
3 | 0( 0) | 0( 0) | 2( 1) | 2( 1) | 2( 3) | 2( 3) | |
6 | 2( 0) | 2( 1) | 3( 4) | 3( 6) | 4( 6) | 4( 8) | |
ポリ包装 | 1 | 0( 0) | 0( 0) | 0( 0) | 1( 0) | 2( 3) | 1( 6) |
3 | 0( 0) | 0( 0) | 1( 1) | 1( 2) | 2( 3) | 2( 7) | |
6 | 2( 0) | 3( 4) | 3( 8) | 3( 9) | 4(11) | 4(12) | |
ポリ包装+リンゴ | 1 | 0( 0) | 0( 0) | 0( 0) | 0( 0) | 0( 0) | 0( 1) |
3 | 0( 0) | 0( 0) | 0( 0) | 0( 0) | 0( 1) | 0( 2) | |
6 | 0( 0) | 1( 0) | 1( 1) | 1( 1) | 1( 1) | 1( 3) |
ごぼうの収穫期、貯蔵期間指針
晩春まき | 収穫期 | 備考 |
品質重視 | 10月上旬まで | 遅延により品質低下 |
根重重視 | 11月上旬まで | 遅延により根重減少、品質低下 |
貯蔵期間 | 温度 | 包装 |
収穫〜4ヶ月間 | 1℃ | ポリエチレンフィルム折り込み包装 |
収穫〜3ヶ月間 | 3℃以下 | 〃 |
4. 成果の活用面と留意点
1 収穫期は晩春まきごぼうに適用する。
5. 残された問題とその対応
1 乾物率の異なるごぼうの貯蔵
2 エチレン濃度と萌芽抑制の関係解明
3 封入するりんごの量の解明