成績概要書(2006年1月作成)
1.場所名 北海道立道南農業試験場
2.系統名 いちご「道南27号」 (いちご新品種育成) |
3.来 歴
「道南27号」は、「けんたろう」と同等程度の果実品質を有し、障害果の発生が少なく多収な品種の育成を目標とし、平成6年に「きたえくぼ」を種子親に「さちのか」を花粉親として交配し、栄養系選抜法により育成した系統である。
平成12年から生産力検定試験、特性検定試験および北見市・比布町・花・野菜技術センターにおける地域適応性検定試験に、平成14年からは余市町と豊浦町においても地域適応性検定試験に供試してきた。
4.特性概要(標準品種:「けんたろう」)
1)形態的特性
葉数が多く葉柄が長い。果房長が長く収穫作業の支障となることがある。収穫終期に生理的な葉の枯れ上がりが見られることがあるが、実用的な問題はない。
2)生態的特性
早晩性は「けんたろう」「宝交早生」よりやや遅く「きたえくぼ」より早い。規格内収量は「けんたろう」より多い。うどんこ病耐病性は「けんたろう」と同等程度に強いが、萎黄病・萎凋病お
よび灰色かび病耐病性は弱い。
3)果実品質
栽培地により果実品質に差を生じやすく、道南農試では「けんたろう」と比較して外部品質は同等であるが、果実中心空洞が大きく、果実が軟らかく、日持ち性が劣り、糖度がやや低
く、食味も劣る。しかし普及対象地域の北見市では、「けんたろう」と比較して外部品質はやや優れ、果実中心空洞はやや大きいものの、果実がやや硬く、日持ち性にやや優れ、糖度
がやや高く、食味は同等かやや良である。
5.普及対象地域および普及見込み面積
「道南27号」は栽培地により果実品質に差を生じやすい系統で、渡島、胆振、後志、空知、上川管内における果実品質は「けんたろう」より劣るが、網走管内では「けんたろう」より優れ
る。「道南27号」は網走管内のいちご栽培地域の無加温半促成作型において、「けんたろう」と組み合わせて作付けすることによって収穫期の幅を拡げることができる上、多収性を活か
した高収益栽培が期待でき、網走管内のいちごの生産拡大に寄与できることから、普及対象地域は網走管内に限定する。
普及対象地域:網走管内
普及見込み面積:1ha(網走管内のいちご無加温半促成栽培面積2haの50%、全道のいちご栽培面積130ha(H17)の0.8%))
6.栽培上の注意
1)適応作型は無加温半促成作型とする。
2)萎凋病と萎黄病に対する耐病性が劣るので、耕種的防除や土壌消毒に努める。
3)灰色かび病耐病性が劣るので、適期防除を心がける。
4)収穫終期に生理的葉枯れが生じることがある。
7.試験成績概要
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(道南農試:H12-17、花・野セ・北見市:H12-16の平均値)
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(函館:H16、北見:H17)