成績概要書(2003年1月作成)
研究課題:道央地域における露地での宿根草および球根類の生育、開花特性
       (新しい道産花きの開発普及促進事業)
担当部署:花・野菜技術センター 研究部 花き科
協力分担:
予算区分:事業
研究期間:1998〜2002年度

1. 目的 
 消費者の花きの新規性を求める声に応えるため、従来の品目に加え、道内に適した新しい品目を見つけだすことを目標として、当センターでは1998年より「新しい道産花きの開発普及推進事業」を開始した。本成績は露地での据え置き栽培を行い花きの生育、開花特性の調査資料を提供することにより今後の道内で利用・消費する花きの拡大に貢献することを目的としている。

2. 試験方法
定植時期・種類数
 宿根草:平成10年5月22日定植35品目50品種、9月28日定植5品目12品種、
       平成11年5月28、31日定植34品目45品種 計65品目107品種
 球根類:平成10年10月27日定植39品目64品種
 試験規模:一区0.4m2(8株)、反復無し
 供試土壌:造成砂壌土
 栽植方法:ベッド幅1m、4条植え・株間20㎝、白黒ダブルマルチ
 施肥量:平成10年5月 N、P2O5、K2O各1.5kg/a、堆肥300kg/a
 追肥:各年融雪後 N、P2O5、K2O各0.5kg/a 
 雑草が目立ち始めた時点で除草を行った。

3. 成果の概要
 1) 宿根草全65品目107品種および球根類全39品目64品種について露地での据え置き栽培を行い、うち越冬性の優れていた宿根草44品目63品種および球根類12品目17品種について生育および開花特性を示した。
 2) 生育特性については萌芽期、草丈、節数を、開花特性については開花始め、開花期、開花終わり、花茎数、花蕾数、花色を調査した。
  ①宿根草(第1表)
〈生育特性について〉
 ・草丈30cm前後の品目・品種の一部は地表全体を覆い尽くすため雑草の繁殖をある程度抑制した。そのためグラウンドカバーとしての利用が期待される。
 ・生育の優れていた品目・品種の中でも草丈が1m前後にまで達するものが全体の50%近くを占め、切り花としての利用も期待される。
・草丈が50cm程度の品目・品種には花茎数・花蕾数が多いため開花時には全体的にボリュームが感じられるものもあり、花壇での栽培も適していると思われる。
〈開花特性について〉
 ・ほとんどの品目・品種で開花期間は1ヶ月前後であったが、なかには2ヶ月以上の長期に渡るものも存在した。
 ・50%以上の品目・品種の開花期が6〜7月に集中した。開花期が最も早いものは5月上旬であった。また、開花期が最も遅い品種は10月中旬であった。
  ②球根類(第2表)
〈生育特性について〉
 ・最初の年のみ開花した品目・品種や、経年的に生育が劣っていくものが多く見られた。
 ・一般に草丈は低く花壇に適していると思われるが、草丈が1m近くに達する品目・品種も存在し、切り花としても利用可能である。
〈開花特性について〉
 開花期が7月であるものは4品目4品種、6月であるものは4品目8品種存在し、全体の約2/3がこの時期に集中して開花することが判明した。
 ・開花期が早い品目・品種では4月下旬から開花を始めた。開花期が遅いものでは9月中旬であった。



4. 成果の活用面と留意点
 ・道内の花きの利用場面において、今回明らかにされた特性を参考にすることが可能である。
 ・本成績が造成砂壌土据え置き露地・マルチ栽培の結果であるという点および豪雪地帯である当センター圃場内で調査されている点に留意する。

5. 残された問題点とその対応
 ・道内各地における品種特性の調査の必要性。