農業研究本部

いちごのクサムラサキホコリ          

 平成14年7月、中札内村のハウス内のいちごに変形菌類の子実体が多数付着していた。組織内に感染はしていないが、花弁や果実に付着すると商品価値がなくなるため問題となっていた。

 子実体は単子嚢体型、子嚢は円筒形で基部は丸く、先端は丸いか円錐形、柄は黒色で長さは子嚢体の1/5〜1/4。表面網(写真右中段)は丸みをおびた多角形。胞子(写真右下段)は透過光で藤色を帯おびた褐色、均一な細かいいぼ型で、径7.5〜10.3μm(平均8.8μm)であった。国立科学博物館の萩原博光氏に同定依頼したところ、本種はクサムラサキホコリ(Stemonitis herbatica Peck)であることが判明した。なお本種による作物の被害は、過去に群馬県のほうれんそうで報告されている(贄田ら1986)。

(十勝農試・十勝中部普及センター)