農業研究本部

カリウム(加里)欠乏

多量要素の欠乏症状

症状の特徴

 1)最初に古葉の葉脈基部に赤紫〜黒色に変色する症状が現れ(写真8)、次第に葉脈に沿って葉縁部へと広がる(写真9)。葉脈の変色は葉の裏面からも明瞭に観察される。

 2)「エッチエス-138」では、症状の進行により葉脈全体の黒変とその周辺部の黄化、葉縁部の縁枯れも見られる(写真10)。

 3)「カレイニャ」では葉脈沿いの黄化は少なく、葉脈の赤紫〜黒変が滲むように葉脈間へ広がる(写真11)。葉脈間へ黒変が拡大する様子はエッチエス-138より著しい。

 4)古葉から下垂・枯死が進行し、最終的には株全体がしおれる様に枯死する(写真12)。

 5)葉脈の赤紫色化症状は、亜鉛過剰と類似する。赤紫色化の症状は、カリウム欠乏では古葉に、亜鉛過剰では中〜新葉に発生する。亜鉛過剰では新葉も淡色化することから判別可能である。

発生しやすい条件

1)保肥力の低い砂質土壌でカリウム含量が低い場合に発生しやすい。

2)他の塩基類(マグネシウム、カルシウムなど)が過剰に蓄積しているハウス土壌等では、土壌中にカリウムが十分あってもこれらの塩基によってカリウムの吸収が阻害されるためにカリウム欠乏が発生することもある。

カリウムの役割

1)カリウムは細胞内にイオンの形態で存在し、気孔の開閉、炭水化物の代謝、光合成およびタンパク質合成に関与していると言われている。
2)窒素やリンと同様にカリウムも移行しやすいため、症状は古い葉から現れる。

写真8 古葉の葉脈基部が赤紫〜黒色に変色する。
(12週目 -K7週目 エッチエス-138)
写真9 葉脈の黒変が葉身全体に広がる。
(12週目 -K7週目 エッチエス-138)

カリウム(加里)欠乏の症状(その1)

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