カルシウム(石灰)欠乏
症状の特徴
1)新芽の展開時に先端部の枯れ「チップバーン」が認められ、甚だしい場合には新芽全体が展開以前に枯れる(壊死)症状を呈する。
2)すでに展開している葉では、葉身が上向きにカップ状になる症状(「エッチエス-138」)を示 し、さらに葉脈間のクロロシスも観察される。いずれの症状も新葉から古葉へ広が り、最終的には株全体に及び枯死に至る。
3)花房は褐変し、抽出されずにクラウン付近からわずかに伸長した程度で生長を停止し、壊死へ至る。
4)葉面散布(0.3%塩化カルシウム溶液、週2回散布)でカルシウム欠乏症状が緩和され、花房 の伸長および着果が確認された。
5)窒素過剰およびカリウム過剰の症状と類似するが、カルシウム欠乏では新葉が淡色化するこ とで判別可能である。
発生しやすい条件
1)乾燥条件下で発生しやすい。
2)土壌中に窒素や塩基(カリウム、マグネシウムなど)が過剰に存在する場合、カルシウムの 吸収が抑制される。
3)湿害などに伴う根の機能低下によりカルシウム吸収が抑制される。
カルシウムの役割
1)カルシウムはミトコンドリアの活性維持、光合成産物の転流に関与するとともに、細胞内各 種膜構造体や核形成そのものに構成材料として必須である。
2)カルシウムは体内移行性が低く再移動し難いことから、一般にその欠乏症状は生長の盛んな 新葉、頂芽、根毛あるいは肥大期の果実に現れる。