農業研究本部

多量要素の欠乏症状

 マグネシウム(苦土)欠乏

症状の特徴

 1)古葉から葉脈間のネクロシス、葉縁部の枯れと内側への巻き込みが発現する。

 2)「エッチエス-138」では、古葉の葉脈間に褐色のかすり状のしみ状斑点を生じる(写真17)。その後、葉縁付近の葉脈間からスポット的にネクロシスが出現し、葉柄部へ向かって広がる(写真18)。また、古葉の縁枯れと内側への巻き込みも見られる(写真19)。

 3)「カレイニャ」では、ネクロシスは葉脈間のしみ状斑点として現れる(写真20)。この症状は「エッチエス-138」で見られるネクロシスと少し異なり、葉表面の葉脈間を染め抜いたように黒色を呈する。これが進行すると、葉脈以外の葉身全体に広がり、古葉が枯死する(写真21)。

 4)マンガン過剰と類似するが、マンガン過剰では新葉の葉脈間にクロロシスを生じることから判別可能である。

発生しやすい条件

 1)他の塩基類(カリウム、カルシウムなど)が過剰に蓄積しているハウスでは、土壌中にマグネシウムが十分あっても、これらの塩基類によってマグネシウムの吸収が阻害され、マグネシウム欠乏を発生することがある。

マグネシウムの役割

 1)マグネシウムは葉緑素の構成成分であるとともに、各種の物質代謝に関与している。

 2)マグネシウムが欠乏すると葉緑素の生成が抑制され、葉にクロロシスやネクロシスを生じる。

 3)移行しやすい要素であることから、古い葉からマグネシウムが生長の盛んな部位に移行し、症状は古い葉から生じる。

写真17 古葉の葉脈間にしみ状斑点を生じる。
(12週目 -Mg7週目 エッチエス-138)
写真18 葉脈間のネクロシスが広がり、葉縁部縁枯れ症状を呈する。
(14週目 -Mg9週目 エッチエス-138)

マグネシウム(苦土)欠乏の症状(その1)

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