カリウム欠乏
多量要素の欠乏症
症状の特徴
1)生育初期のカリウム欠乏では初め下位葉の葉脈間に波状の隆起が生じ(写真1)、葉は内側へ湾曲し、やがて葉縁部から黄化症状が現れる(写真2)。これらの症状は下位葉から現れ、順次上位へと進行する(写真3)。
2)着果期以降のカリ欠乏では、側枝の古い葉の葉縁に黄化症状が現れ、やがて、壊死斑へと変化するカリ欠乏一般に見られる縁枯れ症状(写真4)が発生する。葉脈間の隆起は認められない。
3)窒素、リンと同様、カリウムは移行し易いため、症状は古い葉から現れる。
発生しやすい条件
1)保肥力の低い砂質土壌で、かつカリウム含量が低い場合に発生しやすい。
2)他の塩基類(マグネシウム、カルシウムなど)が過剰に蓄積しているハウスなどでは、土壌中にカリウムが十分あってもこれらの塩基によりカリウムの吸収が阻害されるためにカリウム欠乏が発生することがある。
3)果実肥大期に急激な肥大に伴うカリウム欠乏が発生することがある。これは根からの吸収のみでは間に合わず、下位葉からのカリウム移行が生じるために起こると解されている。
紛らわしい障害(関連の障害参照)
・ホウ素過剰やジメチリモール剤(うどんこ病の薬剤)でも初め下位薬の葉縁部に黄化症状が現れ、葉が内側に巻き込む。しかし、これらの障害では葉縁部がきれいに巻き込むいわゆる「落下傘葉」が観察される。
・まれに斑点細菌病の病斑が葉縁部から生じることがあり(写真)、カリウム欠乏の「縁枯れ症状」に似る。斑点細菌病では、病斑を顕微鏡で観察すると、病原細菌の菌泥(菌の塊)が観察される。