農業研究本部

ニッケル過剰

微量要素の過剰症

症状の特徴

1)初め上位葉の葉脈間に鉄欠乏様の淡い黄化症状が現れ、コップ状に葉縁部から巻き上がる(写真1)。

2)やがて巻き上がった葉縁部と葉脈間に壊死斑が発生し、葉脈の緑を鮮明に残して葉脈間は黄白化し、全ての葉の伸展が停止する(写真2)

3)ニッケル過剰に伴い上位葉に黄化症状が現れることは、キュウリ、カンピョウでも認められており、またコップ状の葉はキャベツで観察されている。さらにカンピョウでは赤褐色の壊死斑が葉縁部の葉脈間に生じることが知られている。

4)上位葉から発生する。

発生しやすい条件

1)ニッケルを多く含む蛇紋岩(じゃもんがん)を母材とした低地土。北海道では上川地方の蛇紋岩地帯でキャベツやダイコンにニッケル過剰が発生したことが報告されている。

紛らわしい障害(関連の障害参照)

・上位葉に黄化症状が現れる点が鉄欠乏、カルシウム欠乏に似る。特に、初期症状は鉄欠乏(写真)に類似しているが、鉄欠乏ではコップ状に葉縁部が巻き上ことはない。

生育初期の鉄欠乏症

写真 生育初期の鉄欠乏の症状。




上位葉の淡黄化症状とコップ状巻き上がり

葉縁部、葉脈間の壊死斑〜黄白化

写真1

初め上位葉の葉脈間に淡い黄化症状が現れ、コップ状に葉縁部から巻き上がる。
(3葉期+Ni2週目)

写真2

葉縁部と葉脈間に壊死斑が発生し、葉脈の緑を鮮明に残して葉脈間は黄白化する。全ての葉の伸展が停止する。
(3葉期+Ni4週目)


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