農業研究本部

多量要素の欠乏症状

カリウム(加里)欠乏

症状の特徴

1)カリウム欠乏では下位葉の葉先縁から葉身の内側に向かって黄化症状を現し、やがて葉先縁から枯死する「葉先縁枯れ症状」を発現するのが特徴的である(写真9)。また、葉先縁枯れ症状を発現している葉は表面を内側に折り畳むように湾曲する。

2)カリウムが欠乏すると鉄の移行が抑制されるために、生長の盛んな上位葉には鉄欠乏症状が誘発される。その症状は葉身基部側の葉脈間より黄白色の条が発生し(写真10)、激化すると葉脈も黄白化する。

3)これらの症状は順次中位葉へ進行し、やがて中位葉では両者の症状が混在する(写真11)。

4)生育初期からのカリウム欠乏では節間がほとんど伸長せず、生育は著しく抑制され、雄穂や雌穂の抽出が不全となる(写真12)。

5)生育中期以降のカリウム欠乏では絹糸の抽出が確認されても、雄穂や雌穂の抽出まで至らない場合がある。

発生しやすい条件

1)保肥力の低い砂質土壌で多く見られ、かつ土壌中のカリウム含量が低い場合に発生しやすい。

2)マグネシウム、カルシウムなどの塩基類が過剰に蓄積している圃場では、土壌中にカリウムが十分あっても、これら塩基のアンバランスによりカリウムの吸収が抑制され、カリウム欠乏の発生が見られる。

3)窒素が過剰供給される場合にもカリウムの吸収が不足し、カリウム欠乏の発生が見られる。

カリウム(加里)欠乏乏の症状(画像をクリックすると拡大されます 原図21〜30KB)


葉先縁からの黄化と枯死(下位葉)
写真9 下位葉の葉先緑より黄化症状が現れ、
やがて壊死斑へ変化した葉先緑枯れ症状である。
(6葉期 −K2.5週目)



葉脈間の鉄欠乏(上位葉)
写真10 上中位葉の葉身基部より葉脈間が黄白化する(鉄欠乏の誘発)。
(9葉期 −K1.5週目)



葉身が折り畳むように湾曲する
写真11 生育中期以降の欠如処理で発現した葉先緑枯れ症状。
表面を内側に折り畳むように湾曲する。
上中位葉では黄白化症状が著しい(鉄欠乏の誘発)。
(9葉期 −P4週目)



穂が抽出しない
写真12 節間はほとんど伸長せず、生育は著しく抑制される。
また、雄穂や雌穂の抽出が不全となる。
(4葉期 −K6.5週目)

目次へ戻る