多量要素の欠乏症状
マグネシウム(苦土灰)欠乏
症状の特徴
1)生育初期のマグネシウム欠乏では初期段階で下位葉の葉身基部から葉先までの葉縁部に黄化症状を現す。やがて黄化症状を発現した部位は壊死斑へと変化し、枯死する(写真17)。
2)中下位葉では葉脈間が淡緑化し、葉脈の緑色を比較的残しながら黄化症状が現れる。さらに症状が進むと、葉脈間に不規則な表皮剥離状の壊死斑を発現する(写真18左側の葉)。
3)さらにマグネシウム欠乏は新葉がやや小型化し、節間がやや短く、生育は抑制される(写真19)。一方、生育初期からのマグネシウム欠乏では雄穂は抽出するもの、雌穂の抽出は不全となる。同様に生育中期以降の欠乏でも雌穂が抽出しない場合がある。
4)生育中期以降のマグネシウム欠乏では初期段階で中位葉の葉身基部側の葉脈間に黄化症状が現れ、不規則な表皮剥離状の壊死斑へ変化する(写真20)。やがて症状が激化すると葉先まで枯死するが、葉身基部側の主脈(中肋)付近の緑色を最後まで残す。これらの症状は中位葉を中心に上下位葉へと進行するが、やがて下位葉では枯死が激しくなる。
5)さらにマグネシウム欠乏が激化すると、葉鞘にも壊死斑が観察される(写真21)。
発生しやすい条件
1)カリウム、カルシウムなどの塩基類が過剰に蓄積している圃場では、土壌中にマグネシウムが十分あっても、これら塩基のアンバランスによりマグネシウム吸収が阻害され、マグネシウム欠乏の発生が見られる。
マグネシウム(苦土灰)欠乏の症状(画像をクリックすると拡大されます 原図18〜28KB)
写真17 下位葉の葉身基部から葉先までの葉緑部に黄化症状が現れ、
やがて壊死斑へ変化する。主脈(中肋)は比較的緑色を残す。
(4葉期 −Mg3週目)
写真18 左側の中位葉の葉脈間には黄化症状が現れ、
やがて不規則な表皮剥離状の壊死斑へ変化する。
右側の縁枯れ症状は写真14の症状が激化したものである。
(4葉期 −Mg5週目)
写真19 新葉は比較的小型化し、節間も比較的短く、生育は抑制される。
(4葉期 −Mg6.5週目)
写真20 生育中期以降の欠如処理で中位葉の葉脈間に発現した表皮剥離状の壊死斑。
順次上下位葉へ進行する。(9葉期 −Mg1.5週目)
写真21 中位葉の葉鞘に発現した壊死斑。(9葉期 −Mg4週目)