農業研究本部

多量要素の欠乏症状

ケイ素欠乏

症状の特徴

1)生育初期からのケイ素欠乏では初めリン欠乏症(写真7)に類似した葉先縁沿いの白色化症状が観察される。(写真22)

2)さらに症状が進むと、中下位葉の葉縁部には葉脈間に縦縞模様の赤褐色の壊死斑が発現する(写真23)。また、葉縁部は細かい波状の縮れが観察される。

3)また葉先から葉身部が大きく切り裂けたような症状(写真24)と、カルシウム欠乏症(写真14)に似た葉縁部が切り込み状に裂ける症状などの葉の奇形が観察される。なお、他の多量要素欠乏にみられた生育抑制は認められない。

4)生育中期以降のケイ素欠乏では生育初期に発症した同様な症状が葉身部に観察されると共に、雌穂には歯抜け状の不稔がみられ、着粒不良が観察される場合がある。(写真25)

5)水稲体内ではケイ素は葉の表皮細胞に沈積してケイ化細胞をつくり、組織の強化や、害虫の食害、いもち病菌の侵入などの抵抗性に役立っている。スイートコーンの症状にも水稲と同様に葉形に及ぼす症状や赤褐色の壊死斑などが発現する。

発生しやすい条件

1)一般にケイ素欠乏が発生することは僅少であるが、可給態ケイ素の少ない土壌では欠乏症状の発生が危惧される。

ケイ素欠乏の症状(画像をクリックすると拡大されます 原図13〜36KB)


葉先縁の白色化
写真22 葉先縁沿いに白色化症状が発現する。(4葉期 −Si 3週目)



葉縁部の縦縞状壊死斑(中下位葉)
写真23 上中位葉の葉脈部の葉脈間に縦縞模様の赤褐色の壊死斑が発現する。
この症状は葉の両面に現れる。また、葉縁部に波状の縮れが観察される。
(4葉期 −Si 6.5週目)



葉身部の奇形(葉がが裂ける)
写真24 葉身が大きく切り裂ける。(6葉期 −Si 2.5週目)



歯抜け状の不稔
写真25 歯抜け状の不稔が観察される。(9葉期 −Si 6.5週目)

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