農業研究本部

多量要素の過剰症状

リン過剰

症状の特徴

1)生育初期のリン過剰は初め上位葉より鉄欠乏症状を誘発する。この症状は上中位葉の葉身基部側の葉脈間に条状の黄白化症状を現わし、症状が激しくなると葉脈も黄白化する(写真30)。やがてこの症状は生長に伴い緩和される。

2)生育中期以降のリン過剰でも初め上位葉に生育初期の過剰と同様な黄白化症状を発現するが、やがて中下位葉にはカリウム欠乏症を誘発し、激しい葉先縁枯れ症状を発現する(写真31)。

3)リン過剰の雌穂には先端不稔および列状の不稔が観察される場合がある(写真32)。また、雌穂の先端部が湾曲する形態異常も見られる。

発生しやすい条件

1)リンが蓄積している土壌や施肥などでリンを過剰に供給した場合に発生が見られる。

リン過剰の症状(画像をクリックすると拡大されます 原図20〜40KB)


基部から葉脈間が黄白化(上中位葉)
写真30 上中位葉の葉身基部側より葉脈間が黄白化する。
激しくなると葉脈も黄白化する
(カリウム欠乏の誘発に伴う鉄欠乏の併発)。
(4葉期 +P3週目)



黄白化(上位葉)と葉先枯れ(中下位葉)
写真31 初め上位葉に黄白化症状を発現し、
やがて中下位葉には葉先縁枯れ症状が現れる。
(カリウム欠乏の誘発に伴う鉄欠乏の併発)。
(9葉期 +P4週目)



先端不稔と雌穂先端部の湾曲化
写真32 著しい先端不稔、列状の不稔、先端部の湾曲が観察される。
(9葉期 +P6.5週目)

目次へ戻る