農業研究本部

微量要素の欠乏症状

鉄欠乏

症状の特徴

1)鉄欠乏は初期段階で新葉の葉身全体が淡緑化し、葉身基部側の葉脈間から黄白化が進行する(写真36)。やがて上位葉全体には著しい黄白化症状を発現する。

2)この症状は順次中位葉へと進行し、下位葉に黄白化症状が見られるころには、上位葉の葉縁部は壊死斑へと変化する。

3)鉄は体内移行性が低いため、その欠乏症状は上位葉に黄白化症状として現れるのが一般的である。鉄欠乏の場合と同じく、新葉に症状が発現するカルシウム欠乏では生育が停止するが、鉄欠乏では生育停止が見られない。また、鉄欠乏症状は重金属元素およびリンの過剰やカリウムの欠乏によって誘発されることが多い。

発生しやすい条件

1)土壌pHが高い圃場やリン酸肥料を過剰施用した場合に発生し易い。

2)マンガン、銅、亜鉛などの重金属の過剰やカリウムの欠乏により、鉄欠乏が誘発される。

鉄欠乏の症状(画像をクリックすると拡大されます 原図24KB)


葉全体の著しい黄白化(新葉)
写真36 新葉は葉身全面に著しい黄白化症状を発現し、
やがて葉縁部は壊死斑へ変化する。
上位葉は葉身基部側より葉脈間が黄白化し、順次中下位葉へと進行する。
(4葉期 −Fe2週目)

目次へ戻る