農業研究本部

微量要素の過剰症状

マンガン過剰

症状の特徴

1)生育初期のマンガン過剰は初期段階で上中位葉の葉身基部より葉脈間が黄白化する鉄欠乏症状を誘発するが、生育の進行に伴って緩和される(写真55)。

2)やがて中下位葉には葉縁部が黄褐変し、葉脈間には不規則な黄褐色の斑点が現れる(写真56)。この黄褐色はやや濁った感じの色合いである。

3)生育中期以降のマンガン過剰も初期段階で生長の盛んな上位葉に鉄欠乏症状を誘発し、葉脈間に黄白化症状を発現する(写真57)。

4)やがて中下位葉には生育初期の欠乏と同様に葉縁部の黄褐変や葉脈間の筋状の黄褐色斑点を発現し、次第に葉脈間の斑点は数珠状の赤褐色斑点へと変化する(写真58)。これに類似した症状は亜鉛欠乏症(写真46)にも発現するが、マンガン過剰における症状はやや濁った黄褐色の斑点から数珠状に繋がった鮮明な赤褐色の斑点へ変化するのが特徴的である。

発生しやすい条件

1)透水性の不良な土壌ではマンガンが過剰に溶出するので過剰害がでやすい。特に有機物の多い圃場はマンガン過剰が発生しやすい。メロンの例では透水性の不良な水田転換畑でマンガン過剰症の発生が見られた。

2)土壌pHが低く、酸性化した圃場で発生する。

マンガン過剰の症状(画像をクリックすると拡大されます 原図18~26KB)


鉄欠乏の誘発(上中位葉)
写真55 上中位葉の葉脈間に発現した黄白化症状。鉄欠乏の誘発。
(4葉期 +Mn2週目)



葉脈間の濁った黄褐色斑(中下位葉)
写真56 中下位葉の葉脈間にやや濁り感のある黄褐色の斑点が現れる。
(4葉期 +Mn6.5週目)



葉脈の黄白化(上位葉)
写真57 生育中期以降のマンガン過剰で発現した葉脈間の黄白化症状。
鉄欠乏の誘発。(9葉期 +Mn1.5週目)



葉脈間の数珠状斑(中下位葉)
写真58 やがて中下位葉に発現した黄褐色の斑点は数珠状の赤褐色斑点へ変化する。
(9葉期 +Mn4週目)

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