農業研究本部

品種間の耐性

多量要素の欠乏および過剰に対する品種間の耐性

比較した品種の特徴

比較した品種はバイカラー系の「ピーターコーン」、「ゆめのコーン」およびイエロー系の「キャンベラ86」、「味来」の計4品種である。これら品種の生育速度はキャンベラ86>ゆめのコーン、ピーターコーン>味来の順に速い。

発現する症状

多量要素の欠乏や過剰により発現する症状は、比較したいずれの品種においても各要素の過不足により生じる特徴的な症状(7〜24ぺージ参照)を示す。

耐性の特徴

1)栄養障害の発現の仕方には次の3つのタイプがある。発現程度の強弱(耐性)が①生育速度に対応するもの、②品種に依存するもの、③品種間に差のないものに区分される(図3)。

2)発現強度が生育速度に対応する栄養障害にはカリウムの過剰・欠乏やケイ素の欠乏によるものが該当する。これらの栄養障害は生長の速い品種ほどその症状を強く発現する傾向にある。

3)発現強度が品種に依存する栄養障害にはリンの過剰・欠乏によるものが該当する。「ピーターコーン」は生長がやや遅いにも関わらず、リンの過剰・欠乏に対する症状の発現が早い傾向にある。「キャンベラ86」や「ゆめのコーン」は生長が速いにも関わらず、リンの過剰・欠乏に対する症状の発現がやや遅く、耐性がやや強い傾向にある。

4)発現強度に差がみられない栄養障害には窒素やカルシウムの欠乏によるものが該当する。

5)窒素の過剰は基本的には生長の速い品種ほど症状を強く発現する傾向にあるが、「ピーターコーン」、「ゆめのコーン」、「味来」ではその差が僅小である。

6)マグネシウム欠乏も基本的には生長の速い品種ほど症状を強く発現する傾向にあるが、「ピーターコーン」はマグネシウム欠乏に対する症状の発現が遅く、耐性がやや強い傾向にある。

栄養障害毎の発生要因
図3 各種多量要素障害における症状の発現の仕方による区分

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