農業研究本部

03-1 厚層多腐植質黒ボク土(03A)

(厚層黒色火山性土)

渡島管内函館市赤坂、普通畑、1991

 腐植含量の非常に多い、かつ腐植層も厚い風化の進んだ火山灰土壌です。本州で言う「黒ボク土」にほぼ相当するもので、「ろ土」とも言われています。多量の腐植の集積は、湿潤な気候と、腐植を集積し易い火山灰の性質などによるものと考えられています。物理性は良好ですが、リン酸固定力が強く、微量養分が欠乏し易い点に注意が必要です。改良策は、石灰、リン酸など資材の施用、堆きゅう肥など有機物の投入です。この地域では主に畑地として利用されています。
この断面は、「銭亀沢のろ土」として知られているもので、ローム質の腐植層は深さ70cmまでおよび、以下は腐朽軽石を含む褐色火山灰層です。主要な火山灰層は銭亀女那川(Z-M)と呼ばれ、3.5~4.5万年前に噴出したものとされています。噴出源は函館市東方の汐泊川河口沖約2.5kmの、津軽海峡の海底(深度約50m)にある直径約2Kmの凹地と推定されています。