農業研究本部

03-4 厚層多腐植質黒ボク土(03A)

(厚層黒色火山性土)

根室管内標津町川北、野草地、1994

 腐植含量の非常に多い複数の火山灰層が累積した土壌です。この土壌は根室、釧路管内に特に多く、多量の腐植の集積は、海霧による冷涼多湿な気候と、腐植を集積しやすい火山灰の性質などによるものと考えられています。物理性は良好ですが、リン酸固定力が強く、微量養分が欠乏し易い点に注意が必要です。石灰、リン酸など資材の施用、堆きゅう肥など有機物の投入などが改良策です。この地域では草地として利用されています。
この断面は、1.2mまでの深さに10種の火山灰層があるとされています。0~84cmの間に、最表層の樽前a層、駒ヶ岳c2層に続きカムイヌプリ2a・1f層、矢臼別層、摩周f,i,j層が出現し、84cm以下は摩周k,l層が出現します。摩周f層までは腐植層が累積し、同i層は腐朽軽石、90cm前後に摩周kの腐植層が見られます。火山灰層の噴出年代は、表層のカムイヌプリが500~1900年前、摩周は6500~7200年前とされています。