農業研究本部

16-2 泥炭土(16)

(無機質表層低位泥炭土)

空知管内南幌町、転換畑、1990

 旧夕張川の流域にある、粘土客土された泥炭土壌で、泥炭の構成植物はヨシ、ハンノキなどです。石狩川中・下流域にはこのような泥炭水田が広く分布し、農地としては日本最大の泥炭地帯となっています。開発前は地下水位が高く、無機質層のほとんどない泥炭湿地だったのですが、その後の幾度にもわたる大規模土地改良事業で客土や排水改良が行われました。主に洪積粘土が客土されており、この地域の無機質層(粘土層)の厚さは平均で30cm程度あり、かなり厚くなっています。
この断面は16-1の隣のほ場です。その違いは、表層の粘土層は26cmとやや薄く、その下に粘土に泥炭が混入して分解が進み、黒泥化した層(26-37cm)があることです。37cm以下からヨシを主とする低位泥炭層が出現しています。
なお、低位、中間、高位という区分は地形の高低ではなく、泥炭の構成植物、つまり泥炭形成当時の湿地の植生環境の違いに依っています。