農業研究本部

16-5 泥炭土(16)

(高位泥炭土)

空知管内美唄市豊葦町、転換畑、1987

 石狩川流域にある高位泥炭土で、おもにスゲからなります。表層に無機質層がほとんどない、この地帯では珍しい断面です。水田作時代にはある程度の無機質層は有ったと思われますが、畑転換する際にほ場の一部がこのような状態になったものと考えられます。
この断面は、無機質層(粘土層)は無く、以下62cmまではスゲ類、ツルコケモモからなる高位泥炭層で、62-80cmは粘土を含む低位泥炭層、80cm以下は低位泥炭を含む黒褐色の、グライ化した粘土層となっています。
なお、低位、中間、高位という区分は地形の高低ではなく、泥炭の構成植物、つまり泥炭形成当時の湿地の植生環境の違いに依っています。高位泥炭の場合は、低位泥炭(ヨシやハンノキ、ヤチヤナギなど)とは異なって、ほとんど栄養分のない環境でミズゴケやツルコケモモが植物群落を形成してできたものです。