Q.21土壌図の精度
Q.21)
土壌図を見て、その地区で実際に穴を掘ってみると、泥炭が出るはずなのに粘土しか出ないと か、あるいは礫が出るはずなのにが砂しか出ない、などと言ったことが良くあります。これは 土壌図を作る際の調査が不十分であったためなのでしょうか。
A.21)
土壌図の本質に関わる難しい質問ですね。結論から言いますと、5万分の1土壌図は25haに1カ所(500m四方に1カ所)の密度で穴を掘って調査しているため、土壌の細かな分布の違いは把握できない、と言うことです。この図はあくまでも農耕地の基本土壌台帳であり、水田や畑の1枚毎の細かな土壌の違いを表示するものではない、と言うことをご理解下さい。
この点をやや専門的に言いますと、土壌図の精度を示すものとして、「包含土壌」(あるいは、異種土壌許容包含割合)なる概念があります。例えば、土壌図上で灰色低地土として区分されている地区を、実際に100カ所穴を掘って調べたところ、そのうち60カ所は灰色低地土であったが、他は20カ所が褐色低地土で、10カ所がグライ土、残りの10カ所は泥炭土だったとすると、この場合、異種土壌の包含割合は40%となります。5万分の1土壌図では、その割合を一応30%を目安にしています。要するに、図上で色分けされている土壌区分は絶対的なものではなく、常にある程度の割合で、他の土壌を含んでいるものなのです。