農業研究本部

各土壌群の特徴や、北海道におけるそれらの分布面積

Q.3)

全国的に用いられている土壌分類法(農耕地土壌分類)では、大きな区分として16種の土壌群に分けられているそうですが、各土壌群の特徴や、北海道におけるそれらの分布面積やその割合を教えて下さい。

A.3)

全国方式である土壌保全の土壌分類表を表5に示しました。全国の土壌は18種類の土壌群に分けられ、次に1~7種類の土壌統群に細分されています。全体としては18土壌群56土壌統群となります。このうち土壌群の中では、赤色土(09)と黄色土(10)の2種及び造成土が、北海道には存在せず、土壌統群については12種が存在しないことになっています。以下、各土壌群の特徴を簡単に述べます。()はコード番号です。

岩屑土(01)

山地、丘陵地の頂上部の傾斜地にみられる、古い時代にできた表土の浅い山の土壌で、残積土とも呼ばれます。土性は壌質~粘質ですが、基岩あるいは礫層が浅く出ることが多く、土壌的、地形的にみて農耕地としての利用は困難です。網走、日高、胆振、上川管内にわずかに分布しているにすぎません。

砂丘未熟土(02)

海岸沿いの砂丘地に分布する砂質の土壌。排水は良いが、農地としてはやや利用しずらい面もあります。石狩、留萌、宗谷管内など主に日本海側にに小面積で分布しています。

黒ボク土(03)

火山灰土壌のうち乾性(排水が良い)のものを言います。主に台地や丘陵地に分布しますが、沖積地にも一部見られます。土性は軽石、灰質、ローム質など地域によって様々です。十勝、根室、釧路管内に特に多く分布しますが、網走、日高、渡島、後志、胆振管内にも多いです。なお、以下の2種の土壌群を含めて火山灰土壌が分布しないのは留萌管内だけです。火山灰土壌の総称としてこの名称が使われる場合もあるので注意して下さい。

多湿黒ボク土(04)

火山灰土壌のうち湿性(排水がやや悪い)のものを言います。主に台地に分布しますが、沖積地や泥炭地にも見られます。土性は軽石、灰質、ローム質など地域によって異なります。上記黒ボク土の分布する地域に見られますが、十勝、根室管内に特に多いです。

黒ボクグライ土(05)

火山灰土壌のうち湿性の強い(地下水位が高く、排水不良)ものを言います。ほぼ平坦な台地や沖積地に存在し、土性は軽石、灰質、ローム質など地域によって様々です。全道的に分布は少ないのですが、胆振管内にやや多く見られます。
(なお、グライとは酸素が不足して土壌が還元状態になっていることを言い、土層が青色を呈している場合も見られます。)

褐色森林土(06)

山地、丘陵地の傾斜~緩傾斜地に普通にみられる土壌です。表土の土性は壌質~粘質で、礫が出る場合もあります。一般に排水が良く、心土は黄褐色です。網走、上川管内に多く分布します。

灰色台地土(07)

ほぼ平坦または緩い傾斜の台地、丘陵地にある、排水の悪い土壌。表土、心土とも土性は粘質で、心土の色は灰色~灰褐色、土が硬いのが特徴である。北海道で重粘土と呼ばれるものはこの土壌が主である。網走、空知、上川、宗谷管内に多い。

グライ台地土(08)

平坦な台地上の凹部地形に分布する、地下水位の高い排水不良な土壌です。一般に表土、心土とも土性は粘質で、心土は青灰色~灰色を呈します。分布面積は少ないですが、空知、上川、宗谷管内に比較的多く見られます。

赤色土(09)

台地や丘陵地に分布する、心土が強い赤味を呈する土壌です。一般に排水は良く、表土、心土とも土性は壌質~粘質で、地質学的にみて古い時代に生成された土壌(化石土壌)と考えられています。北海道にはこの土壌が地表から出現する場合はなく、耕地土壌としては存在しないとされています。

黄色土(10)

台地や丘陵地に分布する、心土が黄色味を呈する土壌です。赤色土と類似した土壌であり、一般に排水は良く、土性は壌質~粘質が多いのですが、礫が出るものもあります。北海道には存在しないとされています。

暗赤色土(11)

台地や丘陵地に分布する、心土が赤味を呈する土壌です。一般に排水は良く、土性は壌質~粘質が多いです。上記赤色土と異なる点は、主に火山活動の影響で土が赤くなったものが主体と考えられることと、赤味がやや弱いことです。分布面積は少ないのですが、上川管内に比較的多く、その他空知、宗谷、網走、後志管内にわずかに 分布しています。

褐色低地土(12)

河川の流域や沢地、扇状地に普通にみられる排水の良い沖積土壌です。心土の色は黄褐色で、土性は砂壌質~壌質が主で、礫が出ることもありますが、粘質の場合もあります。北海道内各地に分布しますが、十勝、網走、上川管内に多いです。

灰色低地土(13)

河川の流域や沢地、扇状地に分布する排水のやや悪い沖積土壌です。心土の色は灰色~灰褐色で、一般に斑紋(鉄さび)を含み、土性は粘質の場合が多いです。水田土壌として最も普通の土壌で、道内各地の河川の中下流域に多く分布しますが、大きな河川のある空知、上川、十勝管内に多いです。

グライ土(14)

河川流域の低湿地、沼沢地や泥炭地の周辺に分布する排水の悪い土壌です。一般に地下水位が高く、心土がグライ層(酸素不足で強い還元状態にある土層)となって青色を呈しており、土性は粘質の場合が多いです。空知、上川の水田地帯に多く分布しています。

黒泥土(15)

泥炭に土砂が混じって植物繊維が識別できなくなるほど分解され、黒褐色の有機質土となったものを黒泥といい、その層が比較的厚く堆積した土壌を黒泥土といいます。北海道内では石狩、上川管内の泥炭土地帯の周辺にごくわずかな面積で分布しています。

泥炭土(16)

流れの緩い河川の流域や平坦な台地上の湿地に、ヨシ、スゲ、ミズゴケなどの植物遺体(泥炭)が堆積してできた土壌です。地下水位が高く、地耐力が弱く、排水不良であるため、客土・排水事業により改良が進んでいます。全道各地にみられますが、空知、石狩、上川、宗谷、釧路、十勝管内等の河川下流域に多く分布しています。

造成台地土(17)、造成低地土(18) 

最近、土壌分類に新しく付け加えられた人工土壌のことです。土地改良事業等による大規模な地形修正や、河川改修・地下鉄工事等の残土の大量客土などにより、土壌が大幅に変化を受けた場合に用います。北海道ではこの土壌群に当てはまる土壌区(一定の広がりを持った、同種土壌からなる地域)は設定されていませんが、個々の水田や畑地ではこの分類に該当するものが出てきており、今後検討すべき事項と思われます。

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