農業研究本部

北海道に存在する土壌統群

Q.4)

16種の土壌群はさらに56種類の土壌統群に細区分されると言うことですが、北海道に存在する土壌統群についてその内容を簡単に解説して下さい。


A.4)

 主要な10種類の土壌群について、低地土、台地土、黒ボク土の3つに大別して説明します。

1)低地土(沖積土)は褐色低地土、灰色低地土、グライ土の3種の土壌群からなります。

褐色低地土(12)には以下の6種類の土壌統群があります。
地下水位が低く、乾性のもの 
12A 細粒褐色低地土、斑紋なし
12B 中粗粒褐色低地土、斑紋なし
12C 礫質褐色低地土、斑紋なし
やや湿性のもの
12D 細粒褐色低地土、斑紋あり
12E 中粗粒褐色低地土、斑紋あり
12F 礫質褐色低地土、斑紋あり


灰色低地土(13)には以下の9種類の土壌統群があります。
湿性の強いもの
13A 細粒灰色低地土、灰色系
13B 中粗粒灰色低地土、灰色系
13C 礫質灰色低地土、灰色系
湿性の弱いもの
13D 細粒灰色低地土、灰褐系
13E 中粗粒灰色低地土、灰褐系
13F 礫質灰色低地土、灰褐系
下層に他の母材が存在するもの
13G 灰色低地土、下層黒ボク
13H 灰色低地土、下層有機質
斑紋がなく、心土の土色が灰色のもの(母材の色がもともと灰色のもの)
13I 灰色低地土、斑紋なし

グライ土(14)には以下の7種類の土壌統群があります。
湿性の程度が強いもの
14A 細粒強グライ土
14B 中粗粒強グライ土
14C 礫質強グライ土
湿性の程度がやや落ちるもの
14D 細粒グライ土
14E 中粗粒グライ土
下層に他の母材が存在するもの
14F グライ土、下層黒ボク
14G グライ土、下層有機質

2)台地土(洪積土)は褐色森林土、灰色台地土、グライ台地土、暗赤色土の4種の土壌群からなります。それぞれ土性により2~3種類の土壌統群に区分されています。

褐色森林土(06)
06A 細粒褐色森林土 
06B 中粗粒褐色森林土
06C 礫質褐色森林土

灰色台地土(07)
07A 細粒灰色台地土
07B 中粗粒灰色台地土
07C 礫質灰色台地土

グライ台地土(08)
08A 細粒グライ台地土
08B 中粗粒グライ台地土
08C 礫質グライ台地土

暗赤色土(11)
11A 細粒暗赤色土
11B 礫質暗赤色土

(用語の意味)
細粒:心土の土性が粘質~強粘質のもの  
中粗粒:心土の土性が砂質~壌質のもの
礫質:礫層叉は砂礫層が60cm以内にでるもの
斑紋あり:地下水やかんがい水の影響で出きた鉄さびがあるもの
斑紋なし:地下水やかんがい水の影響で出きた鉄さびがないもの
灰色系:心土の土色が灰色、つまり還元程度がやや強いもの
灰褐系:心土の土色が灰褐、つまり還元程度がやや弱いもの
下層黒ボク:50cm以下に火山灰層が出るもの
下層有機質:50cm以下に泥炭層または黒泥層がでるもの。
強グライ:ほぼ全層がグライ化しているもの。

3)黒ボク土(火山性土)は黒ボク土、多湿黒ボク土、黒ボクグライ土の3種の土壌群からなります。また、これらの土壌は表層の腐植の集積程度により3~5種類の土壌統群に区分されます。

黒ボク土(03)
表土の腐植層が厚いもの(概ね50cm以上)
03A 厚層多腐植質黒ボク土
03B 厚層腐植質黒ボク土
表土の腐植層がやや厚いもの(概ね25cm以上)
03C 表層多腐植質黒ボク土
03D 表層腐植質黒ボク土 
表土の腐植層が無いかあるいは薄いもの
03E 淡色黒ボク土

多湿黒ボク土(04)
表土の腐植層が厚いもの(概ね50cm以上)
04A 厚層多腐植質多湿黒ボク土
04B 厚層腐植質多湿黒ボク土
表土の腐植層がやや厚いもの(概ね25cm以上)
04C 表層多腐植質多湿黒ボク土
04D 表層腐植質多湿黒ボク土 
表土の腐植層が無いかあるいは薄いもの
04E 淡色多湿黒ボク土

黒ボクグライ土(05)
05A 多腐植質黒ボクグライ土
05B 腐植質黒ボクグライ土
05C 淡色黒ボクグライ土   

(用語の意味)
厚層:表土(腐植層)の厚さが原則として1m程度、最低でも50cm以上あること
表層:表土(腐植層)の厚さが原則として50cm程度、最低でも25cm以上あること
多腐植質:腐植層の腐植含量が10%以上あるもの(腐植にすこぶる富む)
腐植質:腐植層の腐植含量が5~10%あるもの(腐植に富む)
淡色:腐植層がほとんど無いもの、あるいは、腐植層の腐植含量が5%未満(腐植含む以下)のもの、あるいは、表層25cm部分を均一に混合した場合の腐植含量が5%未満のもの

(黒ボク土の土壌統群の問題点)
黒ボク土(火山性土)の分類は、上のように、表土(腐植層)の厚さとその腐植含量の程度の組み合わせによって比較的単純に細分されていますが、多様な火山灰が分布している北海道では、その差異をこの分類法で表現するには限界があります。

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