農業研究本部

支庁別にみた土地利用状況や土壌の種類・分布の特徴

Q.6)

 各地域別(支庁別)にみた土地利用状況や土壌の種類・分布の特徴を簡単に説明して下さい

A.6)

 以下に各支庁別に土壌分布の特徴を述べます。表7には支庁別×土壌群別の面積集計を示してありますのでご参照下さい。なお、面積は昭和60~61年版農林統計によったものです。

石狩支庁管内
管内に農耕地は約4万9千haあり、その面積割合は水田(転換畑を含む)が50%、畑地34%、草地16%で樹園地は極わずかとなっています。
土壌は低地土(褐色低地土、灰色低地土、グライ土)が最も多くて全耕地のうち33%を占め、石狩川下流域に広く分布しており、粘質で排水不良の土壌が多いのが特徴です。泥炭土(泥炭土、黒泥土)は31%で次に多く、石狩川下流域に広く分布しています。火山性土(黒ボク土、多湿黒ボク土、黒ボクグライ土)は18%で比較的多く、主に樽前山系の軽石を主体とする粗粒火山灰からなるものが多くありますが、札幌市南部や北広島市では恵庭岳起源のローム質火山灰からなるものが一部見られます。台地土(褐色森林土、灰色台地土)は12%で、当別から厚田にかけての台地には堅密・粘質で排水不良のものが分布しています。また、砂丘未熟土は2%の割合で分布し、石狩市を中心とする海岸部には道内で最も広い砂丘地がみられ、水田やスイカ・メロン、長イモ畑などとして利用されています。

渡島支庁管内
管内に農耕地は約2万9千haあり、畑地40%、草地33%、水田は26%でこれらに次ぎ、樹園地も一部にみられます。
土壌は火山性土(黒ボク土、多湿黒ボク土が主)が最も多くて59%を占め、駒ヶ岳から噴出した新しい火山灰(軽石、砂)からなるものと、それより古く、腐植が多量に集積して真っ黒い、噴出源不明の火山灰からなるものがあります。特に表土が黒くて厚い土壌を「ろ土」とよんでいます。低地土(褐色低地土、灰色低地土、グライ土)は33%で、各河川の流域や扇状地に分布しており、礫質から粘質のものまであります。泥炭土は6%で、主に長万部、八雲、知内及び大野川などの各河川下流域に分布し、低位泥炭土が大部分を占めています。台地は火山灰が厚く堆積しているために、台地土はほとんど存在していません。

桧山支庁管内
管内に農耕地は約2万1千haあり、水田が47%で最も多く、残りは畑地32%、草地21%となっています。
土壌は低地土(褐色低地土、灰色低地土、グライ土)が最も多くて46%を占め、各地の河川流域に分布しており、砂壌質や礫質のものが主体をなしています。火山性土(黒ボク土が主)は29%で、渡島大島や駒が岳などから噴出した未熟な火山灰からなるものが大部分ですが、一部にローム質のものもみられます。台地土(褐色森林土が主)は15%を占め、台地、丘陵地に分布しており、表層に火山灰が薄く堆積しています。泥炭土は10%で、北桧山、厚沢部、江差などに小面積で分布し、低位泥炭土が大部分です。

後志支庁管内
管内に農耕地は約4万haあり、畑地が47%と最も多く、水田24%、草地22%でこれに次ぎ、また、樹園地は6%で、北海道としては最も広い面積があります。
土壌は低地土(褐色低地土、灰色低地土、グライ土)は36%で各地の河川流域に分布し、砂壌質や礫質のものが主体です。台地土(褐色森林土、灰色台地土)は約35%を占め、火山灰の分布が及んでいない北部、東部の台地、丘陵地に分布しています。このうち暗赤色土は、小樽周辺に小面積で存在しています。火山性土(黒ボク土が主)は24%で、主に羊蹄山から古い時代に噴出したローム質あるいは軽しょう質火山灰を主体とするもので、腐植の多い黒い表土を持つものが多く分布しています。泥炭土は約3%と少なく、余市、共和、尻別川流域などに分布しています。

日高支庁管内
管内に農耕地は約4万haあり、そのうち草地(主に軽種馬用)が76%と多く、水田は17%、畑地は6%です。
土壌は火山性土(黒ボク土が主)が約59%で最も多く、他地域に比べて湿性の割合が少ない特徴があります。新冠の中央以北では樽前山系と有珠山系の粗粒火山灰からなり、また、以南では支笏起源の古いローム質の火山灰が堆積してできたものが主体です。低地土(褐色低地土、灰色低地土、グライ土)は約28%を占め、各河川の流域に分布し、礫質のものが主体となっています。泥炭土は約7%で、三石町以南の海岸沿いに主に分布しています。台地土(褐色森林土、灰色台地土)は約5%と小面積で、浦河町以南の台地や丘陵地に分布しています。

胆振支庁管内
管内に農耕地は約3万5千haあり、草地と畑地がそれぞれ34%で多く、ついで、水田が31%で、一部に樹園地も見られます。
土壌は火山性土(黒ボク土、多湿黒ボク土、黒ボクグライ土)が最も多く約66%を占め、樽前山と有珠山の噴火により何層にも降り積もった火山灰(軽石や火山砂)からなる、いわゆる粗粒火山灰が広範囲に分布しており、この地域の土壌を特徴づけています。低地土(褐色低地土、褐色低地土、グライ土)は約26%を占め、主に鵡川、厚真川流域に分布し、砂壌質や礫質のものが主体となっています。台地土(褐色森林土が主)は7%で、主に西部の丘陵地帯に分布しています。泥炭土はごくわずかで、主に東部にみられます。

空知支庁管内
管内に農耕地は約12万6千haあり、そのうち水田が77%で最も多く、畑地が15%でこれに次ぎ、草地は7%、樹園地はごくわずかです。
土壌は、低地土(褐色低地土、灰色低地土、グライ土)が51%で最も多く、特に石狩川水系の流域には粘質で排水が不良な灰色低地土やグライ土が泥炭土の周辺に広く分布しています。台地土(褐色森林土、灰色台地土、グライ台地土)は24%を占め、石狩川水系沿いの台地や丘陵地に分布し、特に台地には灰色台地土やグライ台地土が広く分布し、水田として利用されています。泥炭土は20%を占めて支庁別では最も面積が多く、主に石狩川の中・下流域に分布し、低位泥炭土、高位泥炭土からなっています。火山性土(黒ボク土と多湿黒ボク土が主)は4%と小面積で、夕張から長沼にかけての南部地域に樽前山起源の比較的新しい火山灰・軽石からなるものが分布しています。

留萌支庁管内
管内に農耕地は約3万6千haあり、草地の割合が66%で主に北部に多く、ついで水田が25%、畑地が8%で、一部に樹園地がみられます。
土壌は、低地土(褐色低地土、灰色低地土、グライ土)が62%と最も多く、各地の河川流域や扇状地に分布し、粘質のものが多いのが特徴です。台地土(褐色森林土、灰色台地土)は20%を占め、海岸沿いの台地や河岸の平坦な台地には粘質で排水不良のものが広く分布しています。泥炭土は17%で、サロベツ原野南部を含む幌延、天塩、遠別に大部分が分布しています。火山性土は道内の支庁としては唯一分布していません。

上川支庁管内
管内に農耕地は約13万2千haあり、水田が50%、畑地が33%を占め、草地が17%、樹園地も一部にみられます。
土壌は低地土(褐色低地土、灰色低地土、グライ土)が47%で最も多く、石狩川、手塩川、その他の河川流域や扇状地に広く分布し、そのうち排水の良い褐色低地土が約40%を占め、他は排水不良で粘質のものが主体です。台地土(褐色森林土、灰色台地土が主)は41%を占め、特に丘陵地や波状地形の台地には褐色森林土が広く分布しており、台地土のうち特に赤味の強い土壌(暗赤色土)が北部に小面積で分布しています。泥炭土は7%で、名寄、士別の盆地や富良野盆地に主に分布しています。火山性土は十勝岳の山麓や占冠、南富良野に小面積で分布しています。

網走支庁管内
管内に農耕地は約17万1千haあり、畑地が64%、草地が33%で、水田は3%とごくわずかです。
土壌は台地土(褐色森林土、灰色台地土が主)が40%で最も多く、網走から雄武にかけてのオホーツク海沿いの台地や丘陵地に広く分布しています。このうち、雄武、興部、遠軽の台地、丘陵地には赤味の強い土壌(暗赤色土)がわずかに分布しています。低地土(褐色低地土、灰色低地土、グライ土)は32%で各河川流域に分布しており、特に礫質の褐色低地土の多いのが特徴です。火山性土(黒ボク土が主)は23%を占め、網走、北見、留辺蕊以東の台地に分布し、屈斜路湖や大雪山、斜里岳の古い火山灰の上に雌阿寒岳や摩周岳からの比較的新しい火山灰が堆積してできたものが主です。また、泥炭土は5%で、主に小清水から斜里にかけてのオホーツク海沿岸に分布しています。

宗谷支庁管内
管内に農耕地は約5万6千haあり、そのほとんどが草地で、畑地はほんのわずかにあるだけです。
土壌は台地土(褐色森林土、灰色台地土、グライ台地土)が52%で最も多く、オホーツク海沿いの台地や丘陵地、稚内から豊富にかけての丘陵地に広く分布しています。低地土(褐色低地土、灰色低地土、グライ土)は25%を占め、各地の河川流域に分布しています。泥炭土は約17%と多く、稚内、豊富、猿払、浜頓別に広く分布しています。また、泥炭土の種類としては低位泥炭土、中間泥炭土、高位泥炭土からなっています。火山性土(黒ボク土)は約4%と小面積で、利尻山に由来するローム質火山灰がサロベツ原野周辺と稚内の一部に分布しています。さらに、砂丘未熟土が主に日本海、オホーツク海の沿岸にわずかに分布しています。

根室支庁管内
管内に農耕地は約10万9千haあり、そのほとんどが草地で、畑地は4%となっています。土壌は火山性土(黒ボク土、多湿黒ボク土が主)が94%と圧倒的に多く、摩周岳、カムイヌプリ、雌阿寒岳からの火山灰が厚く堆積してできたものです。表土に腐植が集積して黒色となっている(黒色火山性土あるいは厚層黒色火山性土とも呼ばれている)のがこの地域の特徴です。低地土(褐色低地土、灰色低地土)は3%とごく小面積で、河川流域に狭く分布し、泥炭土の周辺には排水不良なものが見られます。泥炭土は河川の流域にみられ、低位泥炭土の一部が農地として利用されています。台地は火山灰が厚く堆積しており、台地土は分布していません。

釧路支庁管内
管内に農耕地は約9万1千haあり、そのほとんどが草地で、畑地は5%です。
土壌は火山性土(黒ボク土、多湿黒ボク土が主)が最も多く約76%を占め、摩周岳、雌阿寒岳、雄阿寒岳などから噴出した新旧各種の火山灰が堆積してできたものです。この地域は、腐植が多量に集積して表土が黒色となっている火山性土の割合が高いのですが、腐植の少ない未熟なものも分布しています。低地土(褐色低地土、灰色低地土、グライ土)は約19%をしめ、各河川流域や泥炭地の周辺に分布しており、礫質から粘質のものまでみられます。泥炭土は約4%をしめ、主に河川の下流域の低湿地に分布し、ほとんどが低位泥炭土です。台地は火山灰が厚く堆積しており、台地土は分布していません。

十勝支庁管内
管内に農耕地は約25万9千haあり、畑地が71%と最も多く、草地が28%でこれに次ぎ、水田も一部にみられます。土壌は火山性土(黒ボク土、多湿黒ボク土が主)が最も多くて49%をしめ、恵庭岳や支笏からの古い火山灰の上に雌阿寒岳、十勝岳、樽前山などからの新しい火山灰が堆積してできたものが主体となっています。他の管内に比べて、ローム質や軽しょう質の火山灰の多いのが特徴です。低地土(褐色低地土、灰色低地土、グライ土)は34%を占め、各河川の流域に分布し、砂質から粘質のものまであります。台地土(褐色森林土、灰色台地土)は約13%を占め、火山灰層が薄くなっている東部の山地、丘陵地、台地に分布しています。泥炭土は4%を占め、十勝川下流域に分布しています。

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