農業研究本部

リン欠乏

多量要素の欠乏症



症状の特徴

1.リン欠乏は、初期段階で下位葉の葉先より淡緑化し、次に暗紫色〜紫紅色を帯びた症状が現れ(写真5)、特に葉裏に強くこの色が発現する。(写真6)。

2.この症状は、次第に進行すると、葉面全体が暗紫色〜紫紅色となり、下位葉から中位葉へ広がる(写真7)。

3.さらに症状が進むと下位葉の葉脈間や先端部は壊死し、新しく伸長した茎は細くなり、新葉は小型化し、生育は抑制される。(写真8)。

4.リンは欠乏すると生育が抑制されるとともに、古い葉から生長の盛んな新しい葉へとリンが移行するため、症状は古い葉から現れる。トマトのリン欠乏症状の特徴は、葉脈にアントシアンが沈積して暗紫色〜紫紅色を示すタイプである。

発生しやすい条件

1.一般にリンを固定しやすい火山灰土壌や水田転換畑圃場では、作物に吸収されやすいリンが少ないことから、リン欠乏の発生頻度が高い。

2.リン吸収が抑制される低温時に起こり易い。

3.土壌pHが極めて低い酸性化した土壌で発生する。


リン欠乏の症状

発症初期症状(下位葉が暗紫色〜紫紅色化)

葉裏の暗紫色〜紫紅色化

写真5

発症の初期には下位葉の葉先から暗紫色〜紫紅色を帯びた症状が発現れる。
(6葉期 −P3週目)

写真6

特に葉裏で暗紫色〜紫紅色を強く呈する。
(6葉期 −P3週目)

葉面全体の暗紫色〜紫紅色化

新葉小型化、下位葉の壊死

写真7

その症状は中位葉へと広がり、葉面全体が暗紫色〜紫紅色を呈する。
(6葉期 −P4週目)

写真8

さらに欠乏が進むと下位葉の葉脈間や先端部は壊死する。新しく伸長した茎は細くなり、新葉は小型化し、生育は抑制される。
(6葉期 −P6週目)


リン欠乏の花器

写真9

リン欠乏の花器


リン欠乏で発生した異常果

写真10

リン欠乏で発生した異常果




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