農業研究本部

カリウム(加里)欠乏

多量要素の欠乏症


症状の特徴

1.生育初期のカリウム欠乏は中位葉の先端部から黄色となり、葉縁が次第に黄化する(写真12)。

2.この黄化症状は、葉の内側(葉脈以外の部分)に広がり、この時期になると葉縁の黄化したところは褐色となり、組織が枯死して、葉縁が焼けたような症状になる。(写真13)。この葉縁枯れ症状が発現している葉は脈間に波状の隆起が生じ、裏側に湾曲する。

3.症状がさらに進むと、葉柄や茎に枯死班が現れる(写真14)。

4.着果期以降のカリウム欠乏は、果実の肥大に伴い、その付近の葉(中位葉)に生育初期の症状と同様に葉縁部から黄化症状が生じ、やがて壊死斑へと変化する縁枯れ症状が発する(写真11,15)。

5.窒素、リンと同様に、カリウムも移行し易いため、症状は古い葉から現れる。これらの症状はトマトなどの果菜類でしばしば発生する症状である。

発生しやすい条件

1.保肥力の低い砂質土壌で、かつ土壌中のカリウム含量が低い場合に発生しやすい。

2.マグネシウム、カルシウムなどの塩基類が過剰に蓄積しているハウスでは、土壌中にカリウムが十分あっても、これらの塩基のアンバランスによりカリウムの吸収が抑制され、カリウム欠乏の発生が見られる。

3.急激な果実の肥大伴って周辺葉を中心にカリウム欠乏が発生する。これは根からの吸収したカリウムのみでは間に合わず、下位葉や周辺葉からのカリウム移行するために起こるものと推察される。


カリウム(加里)欠乏の症状

中位葉の縁枯れ症状

中位葉葉縁部の黄化

写真11

果実肥大期の中位葉に発生したカリウム欠乏 (現地圃場)


写真12

中位葉の先端部から黄色となり、葉縁が次第に黄化する。 (6葉期 −K3週目)

葉縁部褐色・枯死、葉脈間の波状隆起

葉柄、茎の壊死斑

写真13

この黄化症状は、葉の内側(葉脈以外の部分)に広がり、葉縁部の黄化したところは褐色となり、組織が枯死して、焼けたような症状になる。葉脈間に波状の隆起が生じ、裏側に湾曲する。
(6葉期 −K2週目)

写真14

症状がさらに進むと、葉柄や茎に壊死斑が現れる。
(4葉期 −K4週目)


果実肥大期の縁枯れ症状



写真15

果実の肥大に伴い、その付近の葉(中位葉)に縁枯れ症状が激発する。
(着果期 −K4週目)



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